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【参政党】「韓国はそういう国」「共産党に仲間を殺害された」発言が物議…識者と振り返る「あなたの町の候補者」のトンデモ発言

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記事投稿日:2025.07.14 18:28 最終更新日:2025.07.16 21:36
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
【参政党】「韓国はそういう国」「共産党に仲間を殺害された」発言が物議…識者と振り返る「あなたの町の候補者」のトンデモ発言

6月27日、松本市で演説する参政党の神谷宗幣代表(写真・金谷千治)

 

 7月3日に公示された参議院議員選挙。躍進を連日伝えられているのは、参政党だ。

 

「公示後の第一声で、神谷宗幣代表は『高齢女性は子供を産めない』と述べました。ほかの政党なら大問題になる発言なのに、選挙への影響は今のところないようです」

 

 こう語るのは、今回の選挙戦を実地で見てきた、ジャーナリストの畠山理仁氏。参政党は今回、全選挙区に候補者を立て、加えて比例区にも10人の候補者を送り込んでいる。

 

 

 だが、神谷代表だけでなく、今回の立候補者たちの“トンデモ発言”も看過できない。本誌は、反ワクチン・陰謀論などに詳しく、参政党をウオッチしてきたライターの黒猫ドラネコ氏(以下、黒猫氏)、全国の選挙現場を取材している選挙ウォッチャーちだい氏に、注視すべき参政党候補者のトンデモ発言と、その考えを持つに至った背景を聞いた。

 

 まずは、北海道選挙区の田中義人氏。

 

「党の古参ボードメンバーで、参政党がなんとしても当選させたい人物です。北海道では、外国資本の土地買収や開発を疑問視する声が広がっており、田中氏はその急先鋒です。田中氏は、2023年4月に岸田文雄元首相が演説中に襲われた事件を受け、『支持率上げのための仕込みかも』とXに投稿しています」(黒猫氏)

 

 神奈川選挙区の初鹿野裕樹氏は、警視庁に23年間勤め、45歳で退職している。

 

「今年5月、Xで《共産党に沢山の仲間を殺害されました》といった支離滅裂な投稿をした人物です。7月3日の選挙演説では『我々の税金で外国人は生活保護をもらっている』とヘイト発言。排外主義的な主張としては、今回の候補者のなかで一番だと思います」(ちだい氏)

 

 東京選挙区のさや氏は、シンガーソングキャスター。黒猫氏は、彼女の演説を聴いてズッコケたという。

 

「さや氏は、元航空幕僚長の田母神俊雄氏を取り巻く“田母神ガールズ”の元メンバーで、保守系YouTubeなどでキャスターをしていました。だからこそ発言内容に注目していたのですが、7月10日の東京・銀座の演説では、立候補した理由について『日本が大好きだから』と訴え、『政府に足りないのは財源ではなく、愛情なんじゃないでしょうか』などという“ゆるふわ”な内容に終始。呆れました」

 

 千葉で出馬しているネイルサロン経営の中谷めぐ氏も、「これまで政治家さんの街頭演説を聴いたり、国会答弁をテレビで見ても共感できるどころか、何言ってるか理解できないことがほとんど」と7月3日の演説で語り“等身大”の姿勢を売りにしている。

 

 静岡選挙区の松下友樹氏は、浜松医科大学卒の美容クリニック院長。神谷代表の冒頭の第一声について、ひろゆき氏がXでおこなった批判を引用したうえで、《何言ってるんですか? 医者ですけど産めませんよ》と神谷代表を擁護。松下氏にも批判が殺到していた。今回の選挙の第一声で松下氏は、コロナワクチン接種についてアメリカ、製薬会社、厚労省、マスコミの偏った情報流布によって「私たち日本人の健康が失われていませんか?」と、問題提起している。

 

「Xのフォロワーは3万3000人超。“反ワクチン的言説”を訴える影響力は無視できません」(黒猫氏)

 

 茨城選挙区の櫻井祥子氏は、選挙区三番手(定数2)と、追い上げを見せる。

 

「2024年の衆院選では、党内の“エース級”が抜擢される選挙区・東京1区から立候補していました(6位落選)。そんな党の人気者が茨城で出馬するわけで、力の入れようがわかります。主張は典型的な参政党員そのものです」(ちだい氏)

 

 7月9日の演説では、「茨城にもどんどん外国人が住み着いており、金属などの窃盗で捕まったのは、みんな外国人だった」と述べている。

 

 一方、「際限のない外国人労働者の受け入れに歯止めをかける」と力をこめるのは、埼玉選挙区の大津力氏だ。

 

「埼玉では、川口市に住むクルド人が犯罪を蔓延させているという言説が広がっています。実態を検証せず、外国人批判をすれば支持を集めてしまう現状があります」(ちだい氏)

 

 大阪選挙区・宮出千慧氏は、7月10日の演説で「共産党の家庭で育ちました」というエピソードで聴衆の心を掴んだ“異色派”。「日本は悪いことをした」という「自虐史観」に違和感を持ち、現在は“反共戦士”に転向した。

 

「『歴史の教科書は全部嘘だった』などの主張に危うさを感じます。インスタグラムでは、《本当の歴史を知ってください》《知ればきっと日本がもっともっと好きになるはず》などと、歴史修正主義の発信が目立ちます」(黒猫氏)

 

 福岡選挙区の中田優子氏は、通信制高校を卒業後、シングルマザーとして子育てと仕事を両立してきた。

 

 6月8日の街頭演説では、「この日本が、今日本ではなくなろうとしています。外国勢力、外国資本によって奪われようとしているんです」と悲壮感たっぷりに訴えた。

 

 一方、軽率な発言でバランス感覚を問われたのが、党の副代表である比例・川裕一郎氏。石川県議だった2019年、金沢港のクレーンに韓国の貨物船が衝突し、補償交渉が難航した際、「日本の船であればこういう状況はなかった。もしかすると(本来は動かない)クレーン側が、船に衝突してきたと言われかねない。そういう国だとも思う」と語り、無用な侮辱と取れる発言として、ほかの議員から議事録訂正を求められた。

 

 松田学氏は比例で出馬。霞が関のキャリア官僚から転身し、さまざまな党から出馬を重ねてきた。一時は党の代表を務めた重鎮だが、黒猫氏は松田氏の危うさを指摘する。

 

「イベントなどでは、『敵はディープステート』と、国家権力を裏で操る存在を匂わせるなど、陰謀論的な発言が見られます。党内では財政政策をまかされ、『松田プラン』を掲げています。これは『政府が仮想通貨を取り入れれば、税の問題はすべて解決する』という支離滅裂なプランです」

 

 松田氏が財政なら、同じく比例の安達悠司氏は、法分野の顔。京都大学法学部卒の弁護士だ。だが安達氏も、《製薬会社やWHOに資金を提供する国際金融資本の存在》にブログで言及している。

 

 兵庫選挙区の藤原誠也氏も、選挙公報で《医薬品業界や各国の利権が絡むWHO主導の新型感染症対策》を批判。「神戸新聞」に「何を『利権』と言っているのか、根拠が不明」と指摘された。

 

 2021年に入管施設で体調を崩し亡くなったウィシュマ・サンダマリさんについて、「医師から詐病の可能性を指摘される状況へ繋がった」と国会で発言したのが、比例で現職の梅村みずほ氏。このときは日本維新の会所属で、離党後に参政党へ。

 

「梅村さんの演説は、聴衆の感情に訴えかけるんです。党支持者以外の票も集めそうです。比例で6番手といわれる彼女が当選したら、参政党は大勝といえます」(ちだい氏)

 

 税理士の比例・安藤裕氏も他党出身。自民党で衆院議員を3期務めた財政通だ。2024年に参政党に入党。2022〜2024年には、コンビを組んで『Mー1グランプリ』に出場。相方は2021年の「週刊文春」でW不倫疑惑が報じられた、京都のローカルタレントだった。コンビ結成当時、本誌は安藤氏を直撃していたが「僕も名前を売っていかなければならないので、“不倫ネタ”を逆に利用してやろうと思っているんです」などと勝ち気なコメントを寄せていた。

 

 米国勤務歴の長い山中泉氏は、まだ当選歴がない新人だが……。

 

「本人は『トランプに近い人と親密』が自慢です。党の政治資金パーティーを見聞した際、トランプ氏の元側近らとのツーショット写真をスクリーンに映して『参政党の本を持って行って、日本で唯一の反グローバリズム政党ですって伝えたら喜んじゃってね』と得意げに語っていました」

 

 あなたの街の参政党候補者は、国政へ送り出すに足る人物だろうか。

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