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米朝首脳会談合意の裏に「北朝鮮の地下資源」開発

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.03.13 11:00 最終更新日:2018.03.13 11:00

米朝首脳会談合意の裏に「北朝鮮の地下資源」開発

「大きな進歩がなされているが制裁は合意するまで続く」とするトランプ大統領のツイッター

 

 この1年あまり、「言葉のミサイル」を撃ち合ってきた金正恩委員長とトランプ大統領が、5月末までに首脳会談を開くことに合意した。その前には南北首脳会談も開催されるから、これで朝鮮半島の非核化が実現すれば、めでたい限りである。

 

 なぜなら、「平昌オリンピック・パラリンピックが終われば、アメリカによる先制攻撃もありうる」との観測が広がり、場合によっては、第3次世界大戦につながるとの恐れも指摘されていたからだ。

 

 韓国は「文在寅大統領のオリンピック平和外交のお陰だ」と言うが、アメリカは「経済制裁の効果だ」と主張する。確かに、北朝鮮は中国からも制裁を受け、国内経済は危うい状況に陥っている。「10月には外貨が底をつく」とも言われるほどだ。

 

 しかし、核保有国としてアメリカと対等に交渉できる立場を得ることで体制維持を図ろうとしてきたのが北朝鮮だ。アメリカとしても、金正恩政権が大陸間弾道ミサイルを完成させる前に北朝鮮の脅威を排除したいと考えたに違いない。

 

 それにしても、突然の歩み寄りである。米朝による「頭越し」合意に安倍首相も真っ青になったという。

 

 実は、アメリカのCIAは韓国の国家情報院(元KCIA)と連携し、北朝鮮とのパイプ作りに水面下で動いてきた。韓国とすれば、将来の南北統一国家樹立に向け、アメリカの理解と支持を得ながら、隠密行動を重ねてきたのである。

 

 アメリカを対北融和になびかせる上で、トランプ大統領の存在は大きかった。

 

 ロシアによる大統領選挙への介入疑惑や度重なる女性スキャンダル、そして娘婿のクシュナー氏の不動産利権問題などで苦しい立場に追い込まれていたトランプ大統領。来たる11月の中間選挙を前に、外交面で起死回生に打って出る必要性に迫られていた。

 

 今回の米朝会談が成功し、朝鮮半島の非核化が実現すれば、トランプ大統領はノーベル平和賞に値すると目論んでいる。しかも、「ディールの天才」を自称するトランプ氏だけに、抗いがたい見返りが提示された模様である。それこそ、地下資源の開発権という北朝鮮の隠し玉に他ならない。

 

 かつて「北朝鮮にはイラクと違って、めぼしい資源は何もない」とされてきた。しかし徐々に北朝鮮がレアメタルの宝庫であることがわかってきた。

 

 たとえばタングステン。これは超硬材の切削工具に使われ、軍需産業には欠かせない素材であるが、世界の埋蔵量のほぼ半分が北朝鮮にあるとされる。

 

 また、合金に使われるアルミニウムやマグネサイト、潤滑油や電子基盤の材料に使われるモリブデンなども、北朝鮮には大量に眠っているようだ。それら未開発の地下資源の見積もり総額は7兆ドルを超える。

 

 実は、全米鉱山協会がロックフェラー財団の資金提供を受け、現地調査を行った上で5億ドルを支払い、北朝鮮の鉱山の試掘権をすでに入手している。当面の核問題が決着すれば、すぐにでも試掘を始めたい意向だ。トランプ大統領とすれば、莫大な利権を手に入れる千載一遇のビジネスチャンスである。

 

 金正恩委員長と文在寅大統領は密かに手を握っているとみるのが自然だ。そこに利権ディールに目ざといトランプ大統領が加わることになれば、日本は立つ瀬がない。この危機的状況を逆転させる手立てはあるのだろうか。(国際政治経済学者・浜田和幸)

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