社会・政治
「NO!」突きつけられているのは首相ではなく自民党…“石破おろし”で政局ゴタゴタ続きへの識者の指摘に集まる賛同

参院選の開票結果を待つ石破茂首相(写真・JMPA)
自民党は8月8日、両院議員総会を開き、総裁選の前倒しを実施するかどうかの対応を、総裁選管理委員会の逢沢一郎委員長に委ねることを決めた。
総会では、党則に則って逢沢委員長が対応することが確認されたため、選挙管理委員会が今後、党所属の国会議員と47都道府県連に総裁選実施の意思確認をおこなうことになる。
政治担当記者が言う。
「自民党の党則6条4項では、党所属国会議員と都道府県連の代表各1人の総数の、過半数が要求した場合は総裁選を実施すると定めています。衆院議員195人、参院議員100人プラス47人の計342人ですから、過半数の172人が総裁選を要求すれば、実施されることになります」
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こうした自民党内での政局が続くなか、8月11日に放送された報道番組『報道1930』(BS-TBS)に出演した、国際情報誌「フォーサイト」元編集長でコメンテーターの、堤信輔氏が発言した内容が話題になっている。
堤氏は番組の最後で、石破おろしをめぐり自民党内で繰り広げられている政局についての私見を、次のように話した。
「自民党という存在が、だんだんだんだん小さくなっているということを、まあ、衆参とも少数与党になったわけですけど、その議員の、数の問題だけではなくて、自民党の総裁を辞めるか、辞めないかをめぐるゴタゴタが、世のなかからどうみられているか。かつてほど国民から見たら、極端にいえば大問題ではない。そこを自民党の方たちがどう意識、理解しているかということを、気にしていきたいなと思います」
この堤氏の発言について、Xでは
《石破政権にNOよりも自民党にNOの方が圧倒的に多い 同じと述べる自民党議員もいるが自分たちにNOを突き付けられている自覚が全くない》
《そうですね!権力闘争やお金の闘争に嫌気がさしています!》
《もう前のような力は持てなくなってますね。石破おろしで益々人心は離れていってるのを彼らは自覚してない。。》
などと、堤氏の指摘に同調する声が相次いだ。
自民党のベテラン秘書も、堤氏の発言について、一定の理解を示す。
「自民党の国会議員がだらしないから、いつまでたっても石破さんをおろす、おろさないの決断ができないのだと考えています。いまはお盆で、先生方は地元の選挙区に帰っていますが、日本がこれからどうなるか、というときに、そんな悠長なことを言っている場合かと。一刻も早く新しい総裁を決めなければならないと思っていますし、このままでは自民党はなくなるかもしれないという危機感を持っています。石破さんは2007年7月の参院選で自民党が大敗したときに、続投を表明した安倍晋三首相を『国民に説明がつかない』と真っ先に批判しました。なのに、自分は2024年の衆院選、2025年の都議選、参院選と3連敗しているのに、辞めようともしないのはどういうことなのか、まったく理解できません。
同時に、党内での石破さんへの追及の仕方が甘すぎだと思います。堤氏が指摘していることは、そのとおりでしょう。いまの我が党のなかでの政局を、国民が冷めた目で見ているのはわかっているのに、あまりにも党内の政局に時間をかけすぎです。7月28日の両院議員懇談会で、石破さんをすぐにでも引きずり下ろそうという動きが高まらなかったことが、最大の原因ではないかと思っています」
別の自民党関係者はこう言う。
「堤氏が話したことはそのとおりで、かつてと比べて国民の自民党に対する関心は薄れているように感じます。給料を上げてほしい、年金を増やしてほしい、物価を下げてほしいと切実な国民の多くは、自民党の総裁が誰であろうと、同じだと思っているような気がします。だからといって、ほかの野党が連立政権を樹立しても、自民党以上の世のなかになるのか、ということに対しての不安も持っているのではないでしょうか。ですから、堤氏の指摘はある意味ではそのとおりだとは思いますが、だからといって世のなかの人が『自民党の政権はどうでもいいや』と自民党を見放しているわけではないと思います」
同番組には政治ジャーナリストの田﨑史郎氏も出演し、今後の石破首相の去就について「早ければ8月の最終週に退陣表明する可能性がありますし、9月第1週の可能性もある。総裁選は9月中におこなわれるだろうと思います。そうなると、10月1日の(就任)1年を迎えられる可能性は、僕は低いんじゃないかと思ってみています」と述べた。
前出の自民党関係者も「田﨑氏の言うとおり、8月末か9月初めまでに石破さんは退陣表明するという見方が、党内では大勢を占めています」と話す。
自民党内の政争に決着がつくのは、はたしていつになるのか。