社会・政治
突然の「南北融和ムード」韓国国民はどう思っているのか
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.03.16 11:00 最終更新日:2018.03.16 11:00
トランプ米大統領(71)が、金正恩朝鮮労働党委員長(34)の要請を受け入れ、5月までに米朝首脳会談に応じる意向を示したーー。韓国と北朝鮮の南北首脳会談開催決定に続き、突然の対北朝鮮融和ムード。
「北朝鮮が具体的な行動をとるまで、最大限の圧力をかけていく」
日本の立場は3月9日の安倍晋三首相(63)の言葉に尽くされているが、韓国はそのパートナーでいてくれるのか。本誌がソウル市内で拾い集めた声は、意外にも冷静だった。
「自分が生きている間に統一する姿を見たい」(ヤン・ジョンファ氏)
「米国と協力して戦争にならない方法を探さなければ」(キル・ジュンドゥ氏)
素直に南北会談に期待する声はあったが、ある30歳のサラリーマンからは次のような皮肉なコメントも。
「ええ、期待していますよ。小遣い程度ですが株式投資をしているので、南北の平和の機運が高まれば、外国から買いが入って株価が上がるのではないかと(笑)。統一は望んでいません。別々の国として生活していくほうがコストは安くすむと思いますから」
目立ったのは、会談には期待していない、そもそも興味がないという声だ。
「会談は時間稼ぎに使われる可能性が高い」(パク・クァンサム氏)
「正直、会談には興味がない。兵役が憂鬱です」(ファン・チャフン氏)
「これまで騙されてばかり。北朝鮮を信じていない」(ヨム・スンフン氏)
実際、北朝鮮には国際社会を騙し続けてきた “前科” がある。
「2005年には6カ国協議で核放棄の共同声明を初採択しましたが、北朝鮮は寧辺の核施設を一部破壊したものの、合意の破棄を一方的に主張、翌年には1回めの地下核実験を強行しています」(元韓国国防省情報分析官・高永喆氏)
“前科”を目のあたりにしてきただけに、こんな過激な声さえ聞こえてきた。
「むしろアメリカが爆撃をしてこそ、北朝鮮は目覚める。爆撃のあと、部分的な戦争になれば、韓国は国際社会において何十年も遅れてしまうだろう。それでも、アメリカは爆撃をやるべきだ。だってアメリカは、北朝鮮以外、ISやシリアなどを爆撃しているじゃないか」(ノ・ジョンホ氏)
トランプ大統領は、北朝鮮の急激な変化を手放しで評価してみせたが、アメリカの外交は、常に対話と圧力のダブルスタンダードだ。対北朝鮮融和路線には罠がある。それに気がついていないのは文大統領だけかもしれない。
(週刊FLASH 2018年3月27日・4月3日合併号)