
9月19日、自民党の河野太郎前デジタル相(麻生派)が党総裁選に立候補せず、小泉進次郎農水相を支持すると表明した。
河野氏は記者団に対し「解党的出直しができる人は誰だということを考えたときに、小泉さんが最もふさわしいのではないかと思っている」と語った。
2009年、2021年、2024年とこれまでに3回総裁選に立候補している河野氏は、自身が出馬しない理由について「解党的出直しが必要だというなかで、私がやると『解党』になってしまうかもしれない。党をしっかり最後までまとめていける人がいい」と述べた。
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河野氏が小泉氏支持を表明したことについて、政治部記者がこう話す。
「2021年の総裁選では、小泉氏が河野氏を支持して連携しました。ただ、麻生派の半分が岸田文雄氏への支持に流れたことが、河野氏にとって致命傷となりました。
その後、麻生氏は河野氏に対して『もっと派の若いやつの面倒を見ろ』と盛んに指示し、河野氏もこれを受け入れ、ほぼ毎晩のように麻生派の中堅若手議員1~2人ずつと会食を重ねるようになりました。
そうした成果もあって、ある麻生派幹部は『派内の河野アレルギーが薄れてきた』と話していました。
ようやく麻生派に馴染んできた河野氏ですが、元首相の菅義偉党副総裁とも近い関係にあります。河野氏、菅氏、小泉氏の3人は、2週間に1回程度、赤坂議員宿舎で会合を開いていましたから、小泉氏を支持するのは自然な流れとも言えます」
今回、河野氏が出馬を見送り、小泉氏支持を表明したことについて、自民党内からはあらためて “同情” の声が出ている。
ある自民党関係者は、「河野さんは昨年の総裁選で心が折れたのではないかと思います。派閥の親分の麻生さんに裏切られましたからね」と話す。
この関係者は、昨年の総裁選期間中にこう話していた。
「麻生氏は、自派閥の54人をまとめられなかったものの、一応、派閥としては河野太郎デジタル相を支援すると約束しました。しかし、河野氏の票がまったく伸びないことがわかり、戦術を変更したようです。
小泉氏と石破氏による決選投票だと自分の居場所がなくなり、政治家としての力がなくなってしまう。『朝日新聞』も書いていましたが、小泉氏と石破氏の決選投票になったら、麻生氏は『亡命するしかねえな』と周囲に語っています。
自虐的に言っていますが、つまり『日本に自分の居場所がなくなる』と吐露しているわけです。これはほぼ本心に近いと思いますよ。そこで、3番手あたりにつけていた高市早苗氏を1回めの投票で、上位2名に入れようと画策し始めたようです」
そして、当時、麻生派関係者もこう話していた。
「河野氏の推薦人20人のうち麻生派の議員は18人います。上川陽子外相の推薦人は麻生派から9人、小林鷹之氏には4人、高市氏には2人、茂木敏充氏には2人、小泉氏には1人、加藤勝信元官房長官には1人います。
しかし、高市氏の推薦人になった麻生派の中村裕之衆院議員が、麻生派の議員らに対して最近こう話して回っています。『石破と小泉が決選投票になったら、まずいですよね? と麻生会長に話したら、そりゃ、そうだわなと答えた』と。つまり麻生氏は、自分で直接言えない代わりに中村氏を通して、高市氏に入れろと圧力をかけているようなのです。
これを聞いた議員らは、みな逆に怒っています。『ウチは河野じゃなかったのか』と。なので、すんなりと高市氏に投票する麻生派議員はそんなに多くない感じがします。一方で、麻生氏の “意向” を伝え聞いた河野氏は怒り心頭のようです」
当時、永田町では「河野さんは麻生派を離脱するのではないか?」との見方も流れたが、現在も河野氏は麻生派に所属している。
前出の自民党関係者はこう言う。
「河野氏は党内に仲間が少なかったこともあって、“裏切り行為” についてはグッとこらえて自民党に唯一残る麻生派残留を決めたのではないでしょうか。
今回の総裁選で、43人の麻生派議員の票は、いまのところ茂木氏、高市氏、小泉氏、小林氏に割れています。ですから、河野氏も気兼ねすることなく、小泉氏支持を表明したのでしょう。麻生氏と距離を置こうとし始めているのかもしれません」
河野太郎氏は “わが道” を歩み始めたのだろうか。
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