
「ひょっとすると、小泉進次郎さんと決選投票に臨むのはウチじゃないのか?」
自民党の総裁選投開票日を前に、立候補している林芳正官房長官の陣営が湧き立っているという。総裁選の投開票日は10月4日。すでに残すところは1日もない。メディア各社の情勢分析では、党員党友票でトップを走るとされる高市早苗氏と、議員票で圧倒的な強みを見せる小泉進次郎氏がほぼ拮抗。両者による決選投票が固いとされている。
ところが、ここ数日、林官房長官が議員票で猛追していると報じられてきた。相当数の小泉農相への支持票を食っているというのである。大手紙の政治部記者がこう解説する。
「小泉さんには、ステマと党員削除の2つの疑惑が直撃しました。ただ党員党友票は、郵便でおこなわれるため、疑惑が報じられる前に投票を済ませた党員党友が大多数でしょうから、それほどの影響はないとされます。
最新調査は、日本テレビ系で高市さんが35%、小泉さんが28%ですが、林さんは23%と、前回調査より6%も上昇しました。
林さんも、もともと議員票は旧岸田派の議員を中心に50人程度を集めていました。高市さんは30人弱から35人程度とされているので、林さんの党員票の伸び次第で、小泉さんに次ぐ2位に食い込んでくる可能性は高いとされます」
じつは2日、衝撃的な噂が各陣営を飛び交った。党内で将来の首相候補の一人とされ、今回の総裁選では、林氏ではない候補者の選対の一角を担っているはずの議員が、仲間を引き連れて林陣営にあいさつに訪れたというのだ。
先の総裁選でも、加藤勝信蔵相が、第1回投票で推薦人の20人を下回る16人しか議員票が入らなかった。総裁選の投開票日には各陣営が選対で議員にカツカレーを振る舞い、その皿数で確実な議員票をカウントする。
キーマンが抜けたとされる候補者の陣営は、はたして何皿のカツカレーをさばくことができるのか。いまからヤキモキしていることだろう。
「立て続けに疑惑が向けられた小泉さんに加え、高市さんも奈良公園の鹿が外国人観光客に蹴られているという、真偽不明の『シカ発言』があり、ニュースでネガティブに取り上げられました。
高市さんは、党員党友票で圧倒的に勝たないことには、決選投票で、ほかの候補者を支持した議員の受け皿にはなれません。石破政権から距離を置いた高市さんですが、陣営からは『今回負けても、要職なら受け入れる』と、負け戦を意識したような発言も聞こえてきます。孤立感を深めているのかもしれません。
対して、今回の総裁選でそつなく戦ったのが林さんです。やはり、安定感があるのは間違いありません。加えて、林さんの陣営には石破内閣の重要閣僚だった中谷元さんと岩屋毅さんも加わっています。
世間的にはわりと評価が高かった石破内閣の路線を引き継ぐのは、やはり官房長官だった林さんですし、野党第一党の立憲民主党も林さんなら歓迎でしょう。
小泉さんでも、おそらく石破内閣の政策を引き継ぐと思われますが、話すほどにボロが出てくる可能性が高いというのがもっぱらの評判。
支持率が低下すれば、少数与党でもあるので、総選挙の可能性が高まってきます。まだ任期は3年ほどあるので、少なくともあと2年くらいは選挙をしたくないというのが、自民議員の本音でしょう。相手が小泉さんなら、決選投票での逆転は十分にあり得ます」
いずれにせよ、決選投票になれば“小泉・林連合”になるのは確実な情勢だ。つまり、新内閣は当面、石破内閣の政策を継承することになる。ほとんど何の意味もなかった国民不在の政争が、やっと終わる。