
自民党新総裁に選出された高市早苗氏(写真・JMPA)
10月4日におこなわれた自民党総裁選は、1度めの投票で過半数を得た候補者がいなかったため、高市早苗前経済安保担当相と小泉進次郎農林水産相の決選投票となった。
結果は高市候補が185票(議員票149 都道府県票36)、小泉候補が156票(議員票145 都道府県票11)で、高市氏が第29代の総裁に選出された。同党初の女性総裁で、10月15日に召集される見込みの臨時国会で第104代の内閣総理大臣に選出されれば、日本で初の女性首相の誕生となる。
「高市氏は情報番組のニュースキャスターを経て、1993年の衆議院選挙に無所属で出馬して初当選。自由党、自由改革連合、新進党に所属して、1996年に自民党に入党しました。
2005年、郵政民営化に反対して離党しましたが当選。復党して2006年には安倍晋三政権下で内閣府特命担当大臣として初入閣を果たしました。以後、政務調査会長、総務相、経済安保担当相などを歴任しました」(政治担当記者)
2021年の総裁選では、1度めの投票で3位と決選投票に進むことができず、2024年の総裁選では、1度めの投票では石破茂氏を上回りトップになったが、決選投票で逆転された。
3度めの挑戦でつかんだ総裁の椅子。逢沢一郎総裁選選挙管理委員長の発表を座席で聞く高市氏は、感慨と緊張が入りまじった表情をしていたが、対照的に目立っていたのが、高市氏の左右を「まるで水戸黄門を守る助さん、格さんのよう」(自民党関係者)に固めた、松島みどり衆院議員と生稲晃子参院議員だった。
両名とも高市氏の推薦人に名前を連ねているが、新総裁に選ばれた瞬間、松島氏は大きな口を開けた満面の笑みを見せ、生稲氏は流れる涙を隠そうともせず拭っていた。
「とくに松島さんは“勝負カラー”でもある真っ赤なスーツを着ていたので、高市さんよりも存在感がありました。自民党議員からは『ポスト狙いがみえみえ。あからさまだ』という声が聞こえてきました」(同前)
テレビやネットで総裁選を観ていた視聴者もそれを敏感に感じ取ったのか、Xには
《生稲晃子大臣と 松島みどり大臣は 決まりですかね》
《松島みどり、生稲晃子、調子良すぎるわ》
《高市氏の脇を固めるのが、生稲晃子、松島みどりとは。不安過ぎる》
など、苦言が寄せられていた。
「松島さんも生稲さんも、旧安倍派の所属。高市さんは旧安倍派の支援で総裁になれたのです。人事では、裏金議員や旧統一教会(世界平和統一家庭連合)で問題になった議員の起用の可能性もあります。そうなると、有権者の反発は必至です」(自民党関係者)
人事でつまずく総理総裁は多い。高市氏の真価が問われる。