
国民民主党の玉木雄一郎代表
10月21日を軸に調整が続く、臨時国会の召集日。国会が始まれば、首相指名選挙が行われ、次の首相が決まる。
立憲民主党の安住淳幹事長が10月8日、国民民主党の榛葉賀津也幹事長と会談。首相指名選挙で野党候補を一本化し、国民民主の玉木雄一郎代表を野党の統一候補としたい考えを示したことが報じられた。
「安住氏は、統一候補を立てる場合は立憲の野田佳彦代表にはこだわらず、玉木代表を有力な候補として考えると伝えたのです。ただ、榛葉氏は安住氏の申し入れに否定的な考えを示したようです。国民民主としては1回目、そして仮に決選投票になった場合でも玉木氏の名前を書くことに変わりはないようですが、立憲側の提案には乗れないと突っぱねた形になりました」(政治担当記者)
さらに安住氏は9日、れいわ新選組の高井嵩志幹事長、共産党の小池晃書記局長、参政党の安藤裕幹事長らと相次いで会談し、野田代表への投票を立憲としてはこだわらず、野党の一本化を提案した。
「安住氏は日本維新の会にも野党連携を呼びかけています。維新の吉村洋文代表は9日のテレビ番組で立憲と国民民主がまとまるならば、維新としても話を聞くと話していました」(前出の記者)
しかし、安住氏から首相指名選挙の野党統一候補として指名された玉木氏は9日夕方、記者団のぶら下がり取材に対してこう語った。
「首班指名は重いものですからね。単なる足し算でどうこうするものではないと思います。どの党を、は問わずですね。仮にその政権をともにするということであれば、やはり基本政策の一致が不可欠でありますので、それであれば、原発を含むエネルギー政策や安全保障、平和安全法制を含む安全保障の考え方、もちろん憲法の考え方なども立憲さんとはかなり開きがあるのかなと。開きがあるから別の党になっているので。もしそういった首班指名を同じくするということであれば、最低限基本政策の一致が不可欠だろうと思っておりますし、それはこれまで従来から申し上げてきた通りです」
あくまで立憲との協調は困難だと強調した。
前出の政治担当記者が言う。
「玉木代表は、その後も立憲のなかにはいろいろな考え方の人がいらっしゃるとは思うと前置きしつつも、立憲としての考え方をまとめた上で、『わが党が主張しているような政策と一致がはたしてできるのかどうか。これはもう立憲民主党さんの問題だと思います』と話しました。まるで、立憲の政策を国民民主の政策と一致させてから、出直してこいというように聞こえました。そして、立憲の綱領に記されている『原発ゼロ社会を一日も早く実現します』という部分に触れ、『立憲民主党さんは、綱領のなかに原発ゼロというふうに書いていますので』と話し、原発をゼロにするということでは、日本の運営をつかさどることはできないとし、『大きな隔たりがある』と立憲の綱領にまで踏み込んでいました」
この玉木氏の発言について、立憲のベテラン秘書はこう言う。
「首班指名では衆議院が優先されますが、衆院の議席はわが党は148議席で、一方の国民民主は27議席です。しかし、こんな言われようなら、どっちが野党第一党なのかわからんですね。玉木さんは一緒に組むなら国民の政策に合わせろと言っているわけですよね、わが党も舐められたものです。ここまで言われたら、玉木さんの名前は書けないでしょうね。立憲に投票してくれた方はわが党の政策に投票してくれたわけですから、玉木さんに言われたからと言って、国民の政策に合わせるようなことはできません。打倒自公政権を掲げてきましたが、今回は無理筋ですね」
自公政権を少数与党に追い込んだまではいいが、野党糾合は絶望的な状況のようだ。