
自民党との連立離脱を表明する公明党の斉藤鉄夫代表(写真・長谷川 新)
「(自民・公明の連立は)いったん白紙にして、これまでの関係に区切りをつけます」
10月10日、公明党の斉藤鉄夫代表が、26年間続いた自民党との連立から離脱する方針を発表。政界に衝撃が走った。
「離脱の理由として、斉藤代表は『企業・団体献金の規制強化について折り合えなかった』と会見で語っています。
公明党は2024年10月の衆院選、2025年7月の参院選で苦戦しました。衆院選では現役の代表が落選するという事態にもなり、直後の会見で斉藤代表は『原因は自民党の裏金問題にある』という見方を示唆しながら、公明党の苦戦を『もらい事故』とまで表現して、世間を驚かせました。今回、たまっていた不満のマグマが爆発したという印象を受けます」(政治部記者)
斉藤氏は「朴訥で温厚な性格だが、笑顔を浮かべながらも言うべきことははっきり言う」(斉藤氏周辺)という一面もある。その一端が、衆院選後の2025年4月におこなった本誌のインタビューでも垣間見えた。
「斉藤代表の素顔を取材するため、子ども時代のエピソードや鉄道ファンになったきっかけ、選挙の験担ぎなど20の質問を聞きました。
そのなかに『自民党の政治手法は強引だと思うことがありますか』という質問がありました。
すると斉藤代表は『自公連立政権なので、自民党さんが小さな公明党にしっかりと配慮してくれている部分はあると思います』と前置きしたうえで『しかし国民には、いつも公明党が折れているというように映ってしまうのだと思います。“踏まれても蹴られてもついていきます下駄の雪”というイメージになってしまうことは悔しいですね』と語りました。その表情は、厳しかったです」(取材した記者)
そうした公明党議員たちの気持ちを、高市総裁は理解していなかったのだろうか。自民党担当記者は「高市さんの気配りが足りなかったと思う」と指摘する。
「新総裁に選出されたら、まずは公明党との連立協議が優先されます。しかし高市さんは、先に国民民主党と会合をもったと報じられています。少数与党ですから、国会運営を考えれば拡大連立を考えるのは当たり前ですが、どこかで『公明党は自民党の一部』と思っていたのではないでしょうか。
さらに、裏金問題で秘書が略式起訴された旧安倍派の幹部、萩生田光一氏を幹事長代行に起用しました。公明党が政治とカネの問題で、申し入れをしている時期にです。公明党のある議員秘書は『とことん、コケにされた』と憤っていました。多くの公明党議員、支持者である創価学会員の気持ちも同じではないでしょうか」
一方、公明党の連立離脱に、自民党の議員も困惑しているという。
「2024年の衆院選では、もし公明党の選挙協力がなかったら、自民党議員のおよそ25人が落選したともいわれています。今後も有権者は『自民党は政治とカネの問題に後ろ向き』という印象を持ち続けるでしょうから、次の選挙では、自民党は壊滅的な議席数になる可能性があります」(政治ジャーナリスト)
日本政界の混迷の度合いがますます深まっている。