高市早苗首相(写真・JMPA)
支持率82%――。
驚異的な数値をたたき出した、高市早苗総理大臣。内閣発足早々にトランプ大統領の来日をノリノリで乗り切り、一部では旋風も吹き荒れている。しかし、まだまだ高市内閣はスタートしたばかりだ。識者に聞くと、今後の風向きに危険信号もともっている様子がうかがえる。
「高市内閣には、乗り越えなければならない“関門”が4つかあります」
そう語るのは、社会構想大学院大学の北島純教授だ。駐日デンマーク大使館上席戦略担当官としての経歴もある北島氏は、高市内閣をどう見ていたのか。
「まず最初は、財政運営がうまくいくかでしょう。トランプ大統領の訪日で華々しく外交デビューしましたが、防衛費をGDP比2%に引き上げる目標を2年前倒すことにした。その財源の確保をちゃんとできるかどうか。
積極財政を打ち出している高市さんは、国民受けはそのほうがいいのでしょう。ただ、財源論をちゃんと組み立てられるかどうか。これは、通常国会以降で注目される関門でしょうね。
次に、少数与党としての国会運営。自民党と日本維新の会では、過半数には届きませんから、法案は一つも通せないわけです。そこで野党対策が必要になるでしょうが、スムーズな国会運営にはならないでしょう。
しかも今回、維新は閣外協力ですから、いつでも連立が解消できる状態です。いわば、“半連立政権”といったところでしょうか」
不安定な連立が、高市首相肝入りの安全保障政策に影響する可能性もあるという。北島氏が続ける。
「これが3つ目の関門。現在、防衛費の増額とか、防衛装備移転三原則の見直しなど、安全保障の強化策を高市さんが掲げていますが、これにはやはり強い批判もある。スパイ防止法についてもそうです。これは自民も維新も積極的ですが、こうした政策に、『憲法の平和主義が脅かされる』と不安を感じる国民も多い。少数与党の国会において、安全保障強化が国論を二分することになれば、高市さんの掲げる政策を実現させるのは相当大変だと思われます」
だが、高市首相を待ち受ける最大の関門は、身内にある可能性もある。
「4つ目の関門は、新人閣僚らの失言です。身内が内閣支持率低下を招く可能性もあるわけです。今回は、新人閣僚が10人と多いんですよ。たとえ優秀であっても、政治全体の流れを踏まえて発言することに慣れていないという状況はよくあります。そこで思わぬ失言をしたり、国会で答弁に窮する可能性もある。これが意外と、政権の揺らぎに繋がりかねません」
では、高市内閣で“揺らぎのもと”となりそうな人物はいるだろうか。北島氏は複数の人物を挙げる。
「まずは、佐藤啓官房副長官ですね。佐藤さんは政治資金報告書に不記載が発覚していながらこの職に就きましたが、野党側が国会での陪席を拒否し、議運理事会にも出禁状態になっています。すでに高市さんが代表質問の場で謝罪に追い込まれていますが、これはかなり異例ですよ。少数与党の悲哀といいますか、謝罪しないとまとまらないということでしょう。
野党の攻勢次第では、高市さんの謝罪で事が収まらず、佐藤さんが辞任にまで追い込まれるかどうか。内閣発足後に早くも国会対応の難しさを突きつけられた形です。
もう一人あげるとすれば、黄川田仁志地方創生大臣。高市さんの総裁選出馬会見では、記者を『顔が濃い人』といって指名したことが批判を呼びました。黄川田さんもその後謝罪しています。
黄川田さんは、内閣府特命担当相として、こども政策・少子化対策・若者活躍・男女共同参画、沖縄及び北方対策やアイヌ施策など幅広い分野を担っています。その分会見も多いでしょうが、慎重で適切な言葉遣いが要求されますから、コンプライアンス感覚にそぐわない発言が出てきたら危ない。
黄川田さんは、実は地元では一部でアイドル的なファンも多いんです。ただ、大臣としては現代のコンプラ感覚が試されますから」
絶好調の支持率低下を招くのは、外の者か、内の者か――。
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