「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」のイメージ画像(東京国立博物館のHPより)
日本最古の博物館で上野恩賜公園内にある、東京国立博物館が11月10日に発表した本館前の池を改修、廃止し、芝生を植えるという「TOHAKU OPEN PARK PROJECT」についての論争が静まらない。開館100年に向けた事として昨年度に策定された「東京国立博物館 2038 ビジョン」として発表された事業。現在、池になっている部分を芝生化してコンサートなどのイベントを催すという計画に批判が殺到しているのだ。
同館は19日、事業に関する考えを改めて説明するとした新しいリリースを発表。これによれば、「本館とその歴史的な景観の保全を重要なこと」と考えているとし、池については、「池の躯体や基礎は残し、元の池に戻すこともできるように設計」するとした。また、芝生化した場所(前庭)は、「来館者の憩いの場としての機能を主とするものであり、前庭が常設のイベント会場になることはありません」とも綴られている。
リリースでは池の現況についても、1937年の設置から約90年が経過していることで、水質の悪化や池の壁面の亀裂があるとして、維持管理が困難になっているとも強調。池の修繕・維持にかかるコストと、芝生エリアの創出による効果を総合的に検討し、館内での協議を重ねて、本構想に至ったとも説明した。
同館はXの公式アカウントにも新リリースが投稿されたが、これにはXには《池の躯体等は残し元の池に戻すこともできるのであれば、池をなくす必要はないのでは》《池の維持管理が大変なのに、なんで常設でもない芝生のイベント会場のためにお金かけるわけ?》などといった意見も寄せられている。
やはり、燃料費の高騰などで、収蔵品も含めて同館の維持コストが急激に上がったことが、今回の事業計画の動機になっていることや、同館としても池の廃止が苦渋の策であったことは一部には伝わったようだが、それが池の廃止に直結したことへの納得はあまり得られなかったようだ。同館の元関係者が心配顔でこう明かす。
「芝生敷きにするということですが、現在の池の周りにある植栽はどうするのかなども不明です。さすがにマスコットのユリノキちゃんのもとになった東博本館脇にあるユリノキの大木は、改修後の予想図にもそのままありましたが、ユリノキは根の管理が難しく、広場向きの木ではありません。
これだけ多くの方が東京国立博物館を気にかけ、愛されていたことが再認識されたわけですから、今回のプロジェクトが本当に利用者にとって“正しい”のか、計画の細部を明らかにしてほしいものです」
果たして、物議をかもした改修案の行く末は――。
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