
2025年6月、都内のビルから出てきた乙武洋匡氏(写真・金谷千治)
12月2日、松本洋平文部科学大臣が、同省による学校基本調査で特別支援学校の卒業者数を除く18歳人口で大学進学率を算出していた問題について、「必ずしも適切ではなかった」とコメントした。
「この問題は『毎日新聞』が12月1日にスクープしたものです。学校基本調査では、入学者や卒業者の数を各学校から毎年聞き取りをおこなっています。同紙によると大学進学率は1999年度の報告書に初めて登場し、『大学入学者』を『3年前の中学校卒業者』で割って算出するところ、『中学卒業者』に特別支援中学部の卒業者を含めていなかったとのことです。結果、大学進学率が“0.17〜0.54ポイント”高くなっていたようです」(スポーツ紙記者)
これにはX上で、
《これはひどい。意味がわからない。責任追求はするつもりはないけれど、早急に過去のデータも含めて修正すべき》
《これは大問題。統計から「いないこと」にされるというのは根源的な差別扱い》
といった厳しい声が並ぶ。さらに作家の乙武洋匡氏も、2日更新のXで、
《障害者は「いないこと」にされていました。大学進学率を高く見せるためなのでしょうか。「障害者が大学なんて行くわけない」とタカを括っているのでしょうか。馬鹿にするな》
と激しい怒りを露わにしている。こうした声が寄せられる理由を教育ジャーナリストが指摘する。
「大学進学率は年々上昇を続けています。四年制大学の進学率は30年前の1995年には32.1%でしたが、2005年には44.2%、2015年には51.5%となり、2023年には57.7%を記録し過去最高となっています。背景には子どもの数が減ったことで大学入学がしやすくなったほか、短期大学から四年制へ改組される学校が増えた点などがあげられます。しかし、特別支援学校の卒業者を含めない数字は“誤魔化し”と批判を受けても仕方ありません」
当然のことながら、特別支援学校の卒業生にも大学進学の道は開かれている。
「れいわ新選組の参議院議員である天畠大輔さんは14歳の時に、四肢麻痺のほか発話、視覚、嚥下障害を抱えましたが、特別支援学校を経てルーテル学院大学へ進学。その後、立命館大学の大学院へ進み博士号を取得しています。また、日本で唯一『視覚・聴覚障害者であること』を入学条件とした国立の筑波技術大学も存在します。特別支援学校の生徒で進学希望者をいかに大学に繋げるかということは、政治の使命のはずです。憤る人が多いのは当然でしょう」(同前)
誰もが自由に学べる環境になってほしい。
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