
高市早苗首相
今年10月に就任した高市早苗首相(64)。新政権誕生後、急速に進む円安、冷え込む日中関係、議員定数削減問題など課題は山積み。高市政権と各野党の攻防が続いている。
これらの政局で、各政党の戦略を練る “司令塔” であり、議員たちが日夜議論を交わしているのが「党本部」だ。
当然ながら党本部は、党員以外は基本 “立ち入り禁止” 。さらにいえば、党員にとって一度は訪れたい憧れの場所であり、そこには党の歴史を刻んだホールや党首の部屋、食堂も併設されている。なかには日本共産党のように、党員・後援会のために「本部見学コース」を用意している党もある。
ちなみに党本部職員は、一般公募される場合が多い。「党本部職員といっても、普通の職場。就職サイトに情報をあげています」(立憲民主党職員)。年1回の試験で、競争倍率は高いという。
また党本部には、統制が如実に反映されている。党勢が拡大すれば、比例して党本部の規模も大きくなるが、少数政党のなかには、本部が下町のマンションの1室という場合もある。
とはいえ、日本の将来を左右する政党の本部は、時に襲撃を受ける可能性もあり、各党とも警備は厳重だ。政党の執務室がどこにあるか、外からはわからない構造になっている。はたして政党本部は、伏魔殿なのか。本誌は、「立入り禁止」ゾーンを取材。各党の “秘密” に迫る。
■【自由民主党】1955年結党
(東京都千代田区永田町/衆議院議員196名・参議院議員100名)
1966年に竣工、築約60年の自民党本部ビルは、地上9階地下3階建て。本部を象徴するのは8階ホールだ。高市氏が選ばれた総裁選の舞台としても知られ、自民党の全国大会もここでおこなわれる。
9階にあるレストランは「自民党カレー」が名物。人気メニューは、食べログにも紹介されている昔ながらのビーフカレー(850円)だ。
総裁室はふだん見ることはできないが、「特別に見学できる日もあります」(党職員)という。1階の売店にはバッジや帽子、ライターなど、党グッズが所狭しと並べられている。党員なら一度は訪れたい総本山だ。
■【日本共産党】1922年結党
(東京都渋谷区千駄ヶ谷/衆議院議員8名・参議院議員7名)
現存する日本最古の政党である日本共産党の本部は、結党時から変わらず渋谷区にある。共産党といえば最寄駅から「代々木」といわれてきた。本部ビルは11階建て(2002年竣工)と8階建て(2005年竣工)の2棟。土地建物はすべて共産党の所有だ。別棟に新聞「赤旗」の編集局や印刷所もある。
ここで働く党職員は約300人。ほぼ半数が女性だ。党員向けの本部見学コースがあり、屋上庭園、食堂、大会議室、資料室などを見てまわることができる。
党員約25万人、結党100年を超える日本共産党は、すべて自前がモットー。その精神を体現した本部だ。
■【立憲民主党】2020年結党
(東京都千代田区永田町/衆議院議員148名・参議院議員39名)
雑居ビルの「三宅坂ビル」には、1997年に当時の民主党が党本部として入居。以降民進党、旧・国民民主党が党本部として使用、2022年12月から立憲民主党の党本部になった。
地上10階地下2階建てで、1965年に竣工。新聞記者時代からこのビルに出入りしてきた渡辺創衆院議員は「思い入れのあるビル。民主党からの党の歴史がここに詰まっている」と話した。
■【日本維新の会】2012年結党
(大阪府大阪市中央区/衆議院議員34名・参議院議員19名)
大阪市中央区にある党本部が入居するビルは、地上12階地下1階建ての賃貸ビル。地域政党・大阪維新の会立ち上げ時は、2階フロアのみだった。党勢が拡大して、日本維新の会として国政に進出してからは6階まで使用している。本部職員は、毎日の朝礼で順番に所感を話すのが日課だ。
「テーマは業務や世界情勢、政局も。自分の意見が言えるようにしたい」(本部職員)
■【公明党】1964年結党
(東京都新宿区南元町/衆議院議員24名・参議院議員21名)
1964年11月の結党時から使用している党本部ビル。地上5階地下1階建てで、61年経った現在も耐震補強を施して使用している。隣に食堂として使用する家屋や、道を挟んだ対面は公明新聞ビル、200m先には公明会館もある。番記者用に戸建ての待機室も用意されていた。
■【社会民主党】1996年結党
(東京都中央区湊/衆議院議員0名・参議院議員2名)
社民党の本部は永田町を離れ、今は隅田川沿いの民間ビルの一室に入っている。
「ビルのオーナーの意向で(党の)看板が出せない」(党幹部)と言うが、近所ではこのビルに社民党があることは知られている。党職員は総勢8名。党員増を目指して活動が続く。
■【NHKから国民を守る党】2013年結党
(東京都葛飾区小岩井/衆議院議員0名・参議院議員0名)
名誉毀損で起訴された党首の立花孝志被告が千葉県船橋市議だったことから、新小岩井で2019年からマンションを借り、以来、党本部として使っている。築30年、2DKの部屋では、NHKの受信料に関する相談を受け付けるコールセンターがあり、党所属の地方議員らが対応している。
写真・梅基展央、馬詰雅浩
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