
元新潟県知事で衆院議員の米山隆一氏
2025年も数々の“炎上騒動”がネットを騒がせた。政界や芸能界を揺るがすスキャンダルから、ラーメン店の接客トラブルーー。次から次へと、ニュースが報じられ“消費”されるいま、我々が見るべきポイントはどこなのか。炎上の当事者と識者に見解を聞いた。
「今年も多くの炎上を経験しましたよ」
と語るのは、元新潟県知事で、立憲民主党所属の衆議院議員・米山隆一氏だ。米山氏といえば、Xを通じて主義主張を発信し、ときには激しい舌戦も辞さない“戦う”政治家だ。
「まず記憶に残っているのは、数千人規模に及んだ財務省解体デモですね。現在は下火になっていますが、一時は燃え上がっていました。一部の報道では、残った数人のデモ参加者が『いまは外国人(排斥)デモの方が流行る』と言っていたそうです。そもそもこのデモは、所得税が課せられる最低の金額を178万円まで引き上げるという、いわゆる『178万円の壁』について、当時の石破茂総理が『そういうのはしない』と発言したことなどを一因として始まったものです。
それが高市早苗総理に代わって大盤振る舞いするようになって、デモが縮小したという一面はあると思いますが、それだけではなく、単に『世間の関心が薄れたから』という面も否定できないと思います。このデモに参加していた人達は、そのときに流行っているから参加しただけで、本当に財務省を解体することなど、それほど深く考えていなかったと思います。それがいまは外国人排斥問題に世間の関心が移っている。私はこうした動きを“流行炎上”と呼んでいます。この財務省解体デモはまさに“流行炎上”の典型だったと思います」
米山氏は、4月1日、エイプリルフールの日にほっかほっか亭の公式Xで「ライス販売停止」と投稿したことが炎上したことについても触れた。
「じつはエイプリルフールの日に私のSNSも炎上したんですよ。私はこれまで代替財源の示されない減税については反対の立場を取ってきました。代替財源なく減税したら、必要な歳出は国債で賄わなければならず、結局払わなくちゃいけません。結果、インフレになったりその後増税したりするので、やみくもな減税は国民の利益にならないと言ってきました。
でもエイプリルフールの日に『やっぱり僕は間違っていました。減税に賛成です』と投稿したのです。その数時間後に『投稿はエイプリルフールの嘘でした。ただし投稿が嘘なだけではなく、減税公約それ自体にも嘘があります』と書いたら大炎上したのです。『政治家として公約を嘘のネタにするなんてけしからん』ということだそうです。私としては、『(代替財源のない)減税で生活が楽になる』ということこそ嘘だと伝えるための、知的ユーモアだったのですが通じませんでしたね。
ネットには、兎も角理由を見つけて炎上させようという“けしからん警察”がどこでも待ち構えているのです。ほっかほっか亭のXも、エイプリルフールの冗談だとすぐにわかるはずですが、謝罪に追い込まれた。誰も損なんてしていないのにです」
また、高市首相の台湾有事をめぐる発言もさまざまな形で炎上につながった。米山氏は「発言を引き出した立憲民主の岡田克也衆院議員が中国のスパイだと言われ炎上している」として、次のように話す。
「国会で高市総理に質問した岡田議員は、高市総理が『台湾有事は存立危機事態になり得る』と答えたことで驚いたようです。我々だって、台湾有事については踏み込んだ答弁をすると思ってないし、はっきりしたことを言ってはいけないと思っていました。あの質問は、台湾有事については軽々しく言うべきではないという主張なんです。それに対して踏み越えた答弁をしたのは、ひとえに高市総理の責任だと思いますが、何故か岡田議員が批判されて炎上し、そこから何の関係もない議員外交の写真が掘り出されて中国のスパイだとまでといわれて更に炎上しています。筋違いの炎上が新たなデマを生み、それが更に新たな炎上を生む時代だというわけですね。
JICA(国際協力機構)が日本の4市をアフリカ4カ国のホームタウンにするという構想を発表したところ炎上し、構想の撤回を余儀なくされたこともありましたね。この時は、いくつかの客観的な証拠から、ロシアが日本のSNSに投稿し炎上させたのではないかと言われています。外国人の排斥運動は、結果としてその国の国力を弱めることになりますから、ロシアは日本に限らず周辺国にその手の扇動を行っていると言われており、いくつかの証拠も見つかっています。昔ならスパイを送り込んでやっていたことが、いまではスマホひとつ、botひとつで炎上させ、その結果一国の政情を不安定にすることもできる。そういう時代である事を白日の下に晒した事件でしたね」
12月に入ってからは、米山氏自身も炎上の対象になっている。米山氏の妻で、作家・タレントの室井佑月氏が、12月8日に緊急手術を受けたことを報告。その後、X上で《夫は毎日、外との喧嘩にあけくれてる。もう離婚してください》と怒り米山氏への怒りをぶつけたのだ。あらためて米山氏に聞くと、
「奥様についてはコメントしません。当事者でもあるし、相手もいることなので。僕からはコメントできないです」
とトーンダウン。どんな炎上よりも妻の“怒り炎”のほうが、消火するのが難しいみたい。
![Smart FLASH[光文社週刊誌]](https://smart-flash.jp/wp-content/themes/original/img/common/logo.png)







