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プーチン大統領の「秘密指令」元スパイ襲撃事件はなぜ起きた?社会・政治 2018.04.26

写真・AFLO

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 プーチン圧勝に終わったロシアの大統領選。その直前に起きた元二重スパイ襲撃事件に、世界中が注目している。元外交官で作家の佐藤優氏は語る。

 

「イギリスはプーチンが関与した可能性が高いと主張していますが、合理的な推測をするなら、今回の事件はロシアにメリットがあると思えません。むしろイギリスは、あえてロシアとの関係を緊張させ、利益を見いだそうとしている。内政上のメリットがあるからだとみたほうがいいと思うのです」

 

 3月4日、イギリス南西部の公園でロシアとイギリスの元二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ(66)と娘のユリア(33)が神経剤「ノビチョク」で何者かに襲撃された。

 

 イギリス政府はロシア外交官ら23人の国外追放処分を発動。ロシア政府は全面否定し、イギリス外交官ら23人の国外追放処分という報復措置をとった。英露関係は悪化するばかりだ。佐藤氏は続ける。

 

「諜報機関は警告を与えるために、裏切り者を今回のような方法で殺すことはありますが、今回の場合は違うと思います。スクリパリがどのように生計を立てていたのかはわかっていませんが、武器密売やマネーロンダリングなどに手を染めていたのかもしれない。その報復として、犯罪組織に襲撃された可能性はあります。

 

 ただ、ロシア政府の管理下にある化学兵器・ノビチョクが使われたわけですから、なんらかのかたちでロシアの諜報機関が関与していたことは間違いないでしょう」(前出・佐藤氏)

 

 一方、ロシアの諜報活動の当事者を取材してきた作家・報道記者の竹内明氏はロシア政府の関与を指摘する。

 

「先日、アメリカに亡命した元KGB非合法スパイを取材した際は、『裏切り者が相手国内にいる限り、暗殺はしないはずだ』と話していました。ですが、2010年にはアメリカに亡命したロシアのスパイ・トレチャコフが、チキンを喉につまらせて死亡するなど、暗殺が疑われる不審死はある。ロシアは敵国に寝返った諜報員には死をもって償わせる国なのです」

 

 特にイギリスとは、KGB時代から、諜報機関員を二重スパイとしてリクルートしてきた対立の歴史がある。また、2006年に放射性物質・ポロニウムで毒殺されたFSB(ロシア連邦保安局)の元スパイ・リトビネンコ氏など、亡命ロシア人の不審死が相次いでいる。今回も、ロシアによる謀殺を疑う声が強いのはこのためだ。

 

「ロシア国外で暗殺をおこなうのは、防諜を担うFSBです。リトビネンコ事件もFSBの関与が疑われましたが、今回もおそらく同じだと思います」(竹内氏)

 

 プーチン大統領は1999年に首相に就くまで、FSB長官を務めていた。  

 

 外交ジャーナリストで、元NHKワシントン支局長の手嶋龍一氏は語る。 

 

「イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスの4カ国は、プーチンが関与した疑いが強いとの共同声明を出しています。4カ国の諜報機関は、通信傍受などで犯行経緯の証拠を摑み、かなりの自信を持っているのでしょう。そうでなければ、あれほど強い表現を使って声明は出せません」

 

 佐藤氏が言うように、ロシア政府のメリットは藪の中だが、プーチン大統領の “秘密指令” や諜報機関の忖度によって、今回の事件が引き起こされた可能性は高い。日本を含めた全世界で、日々、ロシアによる非合法な諜報は続けられているのだ。

(週刊FLASH 2018年4月10日号)

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