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自衛隊最高幹部も協力者に「ロシアスパイ」驚異の手口

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.05.01 06:00 最終更新日:2018.05.01 06:00

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旧ソ連の化学兵器が使われた襲撃現場(写真・AFLO)

 

 イギリスで起きた元二重スパイ襲撃事件に、全世界で衝撃が走った。実は、諜報戦で出遅れている日本でも、ロシアスパイの暗躍はやまない。

 

 以下の記事は、過去約20年のうち、日本で起こったおもなスパイ事件をリスト化し、当時の新聞報道を引用したものだ。

 

●フリーランス翻訳家に4人の工作員が……

 

 日本人のフリーランスの翻訳家(59)が、約7年にわたり雑誌「電気通信」や防衛関係の資料をロシアに提供。「翻訳を頼みたい」との依頼がきっかけで、KGB時代から通算人の工作員と接触。約800万円を受け取っていた。資料の受け渡しは練馬区内の住宅地の路地で、すれ違う瞬間に手渡す「フラッシュ・コンタクト」という手法が使われた。(「読売新聞」1998年2月3日夕刊)

 

●難病の子を抱えた自衛官を籠絡

 

 防衛研究所所属の三等海佐が機密文書を無許可で複製。ロシアの駐在武官で、GRU(軍参謀本部情報総局)の大佐・ボガチョンコフに手渡した。三佐の息子が難病にかかってからは、大佐は見舞いの名目で現金を渡すようになった。国は違っても階級差は絶対で、三佐は「はい、大佐!」と直立不動だった。金額は計数十万円。これからさらに機密流出が進む段階だったとされる。(「朝日新聞」2000年9月8日夕刊・「読売新聞」2000年11月24日朝刊)

 

●妻も気づかなかった30年間の秘密

 

 SVR(ロシア対外情報庁)の非合法機関員が、福島県の男性、黒羽一郎さん(失踪)になりすまし、30年以上にわたり情報を収集。日本人女性と結婚し、貿易商を装い頻繁に海外に渡航していた。「生まれ育った土地には悪い思い出しかない」と過去は話さず、「書斎には絶対に入るな」と厳命。妻とはモールス信号で連絡を取り合っていた。妻は最後まで正体に気づかなかった。(「朝日新聞」1997年7月30日朝刊)

 

●東芝マンの人生が狂った幕張展示場

 

 駐日ロシア通商代表部員・サベリエフが、東芝子会社の社員から半導体関連の情報を引き出し、約100万円を渡していた。出会いは幕張の電気機器の展示会だ。サベリエフはイタリア人コンサルタント「バッハ」を名乗り、社員に接触した。「東芝のLANに入りたい」といった要求に、社員は居酒屋にノートPCを持参。言われるがままコピーさせるように……。

 

●毎回の10万円に陥落した内閣情報調査室事務官

 

 中国や衛星情報の専門家である内閣情報調査室職員が、ロシア大使館職員・ベラノフと会合で知り合い、“意見交換”するように。寿司や焼き肉店での会食は最初は割り勘だったが、次第に大使館員持ちになった。途中からは現金も手渡され、最後は1回10万円。職員は、重要ポストに就くまで手なずけておく「スリーパー」に位置づけられていたとみられる。

 

●脇が甘かった元陸上自衛隊最高幹部

 

 厳しい仕事ぶりで知られ、陸上自衛隊の東部方面総監まで務めた元陸将が、退官後、現職の陸将などを通じて部内資料をGRUの駐在武官・コワリョフに流出させていた。ただし金銭の授受はなく、飲食の支払いも交互だった。元陸将は「研究熱心だったので渡した」と供述したと報道。軍事官僚間の信頼関係につけ込まれたかたちとなった。(「読売新聞」2015年11月21日夕刊)

 

「スパイの浸透に備える公安警察は、刑事警察と違い、“犯人” でなく “情報” を追うことが至上の使命です。通常はあえてスパイを泳がせ、誰と接触しているか探っている。ここ10年、目立った逮捕事例はありませんが、外国のエージェントによるイリーガル(非合法)なスパイ活動は活発に続けられています」(諜報に詳しいジャーナリスト)

 

 SVRは書記官や報道特派員、通商代表部員として、GRUは駐在武官としてスパイを送り込む。そして、時間をかけて、言葉巧みに日本人協力者(エージェント)をリクルートする。だが、組織によって特性が異なる。

 

「GRUは荒っぽく、発覚しやすいところがあるので、摘発例が多い。逆に、SVRは緻密でなかなか尻尾をつかませないんです」(前出・竹内氏)

 

 日本でSVRがあまり諜報活動をしていないわけではない。別人になりすます “背乗り” という非合法な手法を使った事件は、SVRによるものだ。

 

「いまも背乗りのロシアのスパイは、間違いなく日本にいるでしょう」(同前)

 

 プーチン大統領は今後、SVRとFSBを統合し、かつてのKGBのような最強の諜報機関を再興するつもりだ。

 

 スパイ出身の大統領が、諜報戦の覇権を握ろうとしている。
(週刊FLASH 2018年4月10日号)

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