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「再びスーパーからコメが消える可能性も」識者が警鐘を鳴らす「イラン戦争でコスト爆増」日本の農業“崩壊”のシナリオ

社会・政治 記事投稿日:2026.04.06 17:12 最終更新日:2026.04.06 17:13

「再びスーパーからコメが消える可能性も」識者が警鐘を鳴らす「イラン戦争でコスト爆増」日本の農業“崩壊”のシナリオ

“廃棄米”を豚の飼料に加工していく工場。大量の海苔巻きが見える(写真・梅基展央)

 

「このままでは、日本の食料自給率は数パーセントにまで下がることになります」

 

 こう語るのは、東京大学大学院特任教授の鈴木宣弘氏だ。農業の専門家として「令和の百姓一揆」と題したデモをおこなうなど、精力的に発信を続けている。

 

 現在、イラン戦争に端を発するホルムズ海峡の封鎖により、原油の供給が大幅に切迫している。ガソリンなどの価格に注目が集まるが、鈴木氏は農業への甚大な被害に警鐘を鳴らす。

 

「日本の食料自給率は38%といいますが、肥料や種子の輸入率を考慮に入れた試算では最悪9.2%まで落ちる、というのが従来の私の見解でした。しかし、計算に入れていないものがありました。日本の農業が依存している、化石エネルギーです。日本のエネルギー自給率は10%台にすぎません。これ以上エネルギーの輸入が止まれば、数カ月しないうちに日本で餓死者が続出するような状態です」

 

 鈴木氏がとくに注視しているのは、コメの生産への影響だった。

 

「コメの生産コストに占める肥料の割合は、だいたい1割ほどとされています。ウクライナ紛争の際には、一度肥料代が2020年比で2倍になったことがあります。2025年には1.5倍となって高止まりしていましたが、現在は国際相場で前月比からさらに50%以上も上がっています。このままいけば、また以前のような高水準に戻る可能性があるのです」

 

 そして鈴木氏は、さらに厳しい試算を示した。

 

「肥料が使えない場合の収量は、従来の半分ほどに落ち込むと出ています。今回の肥料難で、生産量は相当な落ち込みになるでしょう。さらに、トラクターやコンバインの燃料、配送、梱包と、農業にはどれも石油エネルギーが必要です。生産コストが爆増するのは間違いありません。また野菜に関していえば、ハウス農園にかかるコストは3~4割が燃料費ですから、さらに影響が出やすいでしょう」

 

 こうした状況に追い打ちをかけるのが、コメの備蓄量の危機的状況だ。2024年からの“令和の米騒動”では、コメの値段が高騰し、店頭からは在庫が消えた。政府は備蓄米を放出することで価格をなんとか抑えたが、2026年もその手が通用するわけではない。

 

「現在、政府の備蓄米は30万t。これは、国民が食べるコメの量のたった15日分です。コメの生産が十分にできず、物流の不全が起き、備蓄量が半月分しかないとなれば、スーパーからコメが消えるようなことが起こっても不思議ではありません」

 

 ガソリン価格の高騰で、全国からのコメの輸送に影響が出るようなことがあれば、“米騒動”の再来が危ないのは、地方よりもむしろ都市部なのかもしれない。

 

「2026年はコメの価格が下がるともいわれていますが、だとすれば、コスト増を苦にして農業をやめる人が続出する可能性があります。ただでさえ、日本の農家の平均年齢が70歳に近づいて『あと5年で閉業する』という農家が続出しています。現在は、消費者が払える価格と、農家に必要な価格にギャップが出ていますから、その部分を政府が農家に所得補償すべきだ、というのが私の主張です」

 

 政府にこの仕組みを作る覚悟がなければ、夏にはまた“米騒動”が起きるだろう。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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