
原拓也容疑者。写真は、MTU社の過去のリリース記事より
かつて都内の高級ホテルで投資家たちに“医療DXの未来”を語っていた男が、いまや警察沙汰になっている。
約16億円を騙し取ったとされるのは、医療系スタートアップ「MTU株式会社」を立ち上げた、元社長の原拓也容疑者(36)だ。原容疑者は、地方局でアナウンサーを務めていたことも報じられている。
「原容疑者は『大手医療機関に自社システムが導入済み』と虚偽の説明を行い、投資ファンドに自社を高額で売却しました。しかし実際には、売上はほぼ“ゼロ”だったということです」(社会部記者)
現在、新社長に交代したMTU社のホームページには、《医療×ITで人々の健康寿命の最大化を実現する》との理念が並ぶ。主な事業内容として医療機関向けセキュリティ対策やAIによる医療データ活用などが挙げられている。
「最近よくある、小口投資家を狙った詐欺とは違います。相手は2000億円規模の案件を扱う投資ファンド。いわば“投資のプロ”でした。
原容疑者は、投資ファンドに対して具体的な医療機関名を挙げ、信用させていたといいます。しかし、自社の“実績”を示す資金は、すべて自作自演の“見せ金”だったようです。つまり、原容疑者個人や会社口座に入っていた金は、実態のない資金移動によるものだったといいます。被害金のうち約6億円は、その“見せ金”の返済に消えたとみられています」
もっとも、投資会社が騙された背景には、原容疑者の“経歴”もあった。
元地方局アナウンサーという肩書きを持つものの、在籍期間はわずか1年余り。しかし、その後に医療系ベンチャーを立ち上げ、会社を売却した実績があったのだ。当時を知るIT業界関係者が振り返る。
「青山のシェアオフィスを拠点に、複数のIT会社を立ち上げていました。毎朝、有料会議室でミーティングをしていましたが、無断利用も多く、運営会社と揉めることもしょっちゅうでしたね」
とはいえ、いわゆる“ギラついた起業家”とは違い、人当たりはよさそうに映った。
「見た目は爽やかで、押しも強くない。“好青年”という印象でした。だから今回の逮捕には驚いた人も多いと思います」(前出・IT業界関係者)
やがて原容疑者はオフィスを引き払い、周囲には「会社を売却した」と説明していた。
「その会社売却で“1億円弱”を手にしたと聞きました。ただ、売却された会社も事業化が難しかったのか、売却先で清算されています」(同前)
その後、原容疑者は外資系医療関連企業へ転職。DX部門でブランドマネジャーを務めた後、今回問題となったMTU社を設立した。だが関係者によれば、その会社経営は「最初から売却ありき」だったという。
「徹底してコストを削っていた。エンジニアも含め、社員の多くは派遣スタッフだったようです」(同前)
実際、導入された医療機関からはトラブルも相次いでいた。
「システムを試験導入した病院では、不具合が頻発していたそうです。しかも、問い合わせても十分な対応をしない。現場ではかなり不満が出ていたと聞いています」(同前)
現代医療の旗手として投資マネーを集めた男。だが、その実態は“売上ゼロ企業”を使った虚構のビジネスだった。
警視庁は、資金の流れや共犯者の有無についても捜査を進めている。
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