ロシアで開催中のワールドカップで、日本チームが大活躍。コロンビアに勝利し、セネガルとも引き分けた。なんとか、2大会ぶりの決勝トーナメント進出を果たしてほしいものだ。
W杯は、直前まで、欧米諸国がボイコットするのではないかと開催を危ぶむ声が大きかったが、いざ蓋を開けてみると、チケット販売も好調で、プーチン大統領もウハウハの様子。
そんななか、偽のチケットをつかまされ、はるばる海外からスタジアムに来たにもかかわらず、入場できないという悲劇も起きている。その数たるや、なんと3500枚。そのほとんどは中国からやってきた観戦者が買ったものだ。
中国は予選落ちで、ワールドカップには出場していない。しかし、習近平国家主席もファンということで、全国的にサーカー熱がすさまじい勢いで高まっているのである。
自国チームが出場していなくても、お気に入りのチームを応援すべく、中国各地からファンがロシアに押しかけたわけだ。ところがどっこい、手にしたチケットが偽物だったというから笑えない。
ほかにも、FIFA公式グッズの偽物も相次いで摘発されている。その大半もまた中国で製造され、アフリカ経由でロシアに持ち込まれたもの。FIFAのロゴを勝手に刷り込んだTシャツやサッカーボールが大量に押収される騒ぎになっている。
アメリカと中国の間で、知的財産権をめぐる貿易戦争が激化する兆しを見せているが、国際的なスポーツの舞台では、以前から中国による偽物が問題となってきた。今回、特に問題となっているのが、ナイジェリアのチームが身にまとう緑のユニフォームの偽物である。
ナイジェリアは、サッカー大国の威信にかけて、ナイキにデザインを依頼。「スーパー・イーグル」のロゴ入りユニフォーム(1枚90ドル)は、ネットで先行予約販売が始まると、あっという間に完売。300万枚も製造したのに在庫が底をついてしまったのだ。
これは2016年にマンチェスター・ユナイテッドが記録した285万枚を追い抜く史上最大の売り上げ。あまりの人気に、オークションサイト「イーベイ」で400ドル近い値がつくなど、高騰する一方だ。
この動きに、敏感に反応したのが中国の偽物業者だ。さっそくフル操業で偽物ジャージを製造しては、アフリカ経由でロシアやヨーロッパ各国で売りまくっている。
大会に代表チームを送ることはできなかったが、偽物商品では他を圧倒する強みを発揮している。改めて中国へ厳しい目が向けられるだろう。(国際政治経済学者・浜田和幸)