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元大関「琴光喜」給料未払い・パワハラのブラック経営を告発
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.09.02 11:00 最終更新日:2018.09.02 11:00
「支払うものは支払っていますよ」
8月1日、元大関・琴光喜の田宮啓司氏(42)は、本誌の直撃に怪訝そうな表情でこう答えた。
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「たしかに最後の給料は、やっと支払われました。ただ……」
事の顚末を語りはじめるのは、田宮氏が経営する株式会社「MITSUKI」の社員として、名古屋市内の焼き肉店に勤務していたAさん。
「4月分の給料を受け取った後、『激務で給料も安いので辞めたい』と伝えたら、社長からは『給料を上げるから残ってほしい』と。渋々5月も働いたのですが、もらえた額はほとんど横ばい。これはダメだと思い、再び社長に退職の意志を伝えて、6月いっぱいまで働きました」
給料支払い日は、毎月10日となっていた。そこで、Aさんが7月11日に、6月分の給料について店に連絡すると、田宮氏はAさんに逆ギレした。
「(辞めたことに)損害賠償請求するから、給料なんかあるわけないじゃん!」
しかし、民法627条1項には、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定められている。
Aさんと同時期に辞め、給料が未払いになっていたBさんも過酷な勤務実態を証言する。
「Aさんや私に退職届の提出に関する説明は一度もありませんでした。ほかの従業員にもなかったと思います。就業規則がないに等しい状況のため、朝10時から深夜0時まで働くのが当たり前で、1カ月休みが取れないこともあった。残業代や休日出勤手当なんてありません」
2017年1月まで、約2年間勤務したCさんは、田宮氏によるパワハラ被害を口にした。
「店がほぼ満席というなかで、社長がお世話になっている人を連れてきた日がありました。その日は、不慣れな新人バイトと僕の2人だけで接客していたので、社長に『会計の電卓だけでも打ってもらえませんか?』とお願いしたんです。
すると、店内の混雑が一段落したところで、社長が『お前何様や。外に出ろ!』と激昂。胸ぐらを摑まれて表に引っ張り出されたんです。MサイズのTシャツが6Lサイズくらいに伸びて、そのときは恐怖を感じましたね」
Aさんも、田宮氏のきつい態度をたびたび目撃したと話す。
「店の売り上げが悪くなると不機嫌になり、従業員に対して『売り上げを盗んでいるのはお前か』と、あらぬ疑いをかけてくるんです。泥棒扱いされて給料を引かれる人もいました。
あと旧知の横綱・白鵬や放送作家の鈴木おさむさんが来店したときは、『金を持っているから、会計を上乗せしとけよ』と従業員に指示を出していました」
7月中旬、Aさんは給料が未払いであることを労基署に相談した。MITSUKIには、労基署から8月3日までに支払いをおこなう勧告がなされ、7月31日に会社はようやく支払いの意思を見せた。
「8月2日に6月分の給料は支払われました。しかし、これまでも支払ってもらえずに泣き寝入りした社員がいます。今回も労基署に相談しなければ、未払い分は押し切られてしまったと思いますよ」
押しの強さは相撲だけではなかった。
(週刊FLASH 2018年8月21・28日合併号)