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写真で見る「北海道大地震」本誌記者が見た混乱の大地
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.09.14 06:00 最終更新日:2018.09.14 06:00
「ドンと縦に揺れてから、すごい横揺れで、外に飛び出しました。それから、10分ほどで停電に。余震におびえながら、朝を待つしかなかったんです」(札幌市内の住民)
最大震度7を記録した「北海道胆振東部地震」。全道が「混乱の大地」と化した。
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9月6日、新千歳空港が閉鎖されていたため、北海道に入るには、函館、旭川、帯広などの空港を使うしかなかった。
まず本誌記者は羽田空港から函館空港へ飛ぶ。同空港も停電の影響を受けており、自家発電で電力をまかない、航空管制や発券業務をこなしていた。エアコンは動いておらず、建物内の照明は最小限に抑えられている。
北海道新幹線を含め鉄道網は運休。最終便で、函館空港から札幌の丘珠空港へ。札幌市に辿り着いたが、市内のレンタカー店はすべて営業停止中。システムが動かず、車があっても貸し出しができない状況だった。地元出身の本誌カメラマンの親戚から、厚意で車を貸してもらう。
闇の中を走りだす。信号機は動いていない。どの車も、減速して交差点をすり抜けていた。車が数百メートルほど、列をなしている光景をいたる所で目にする。営業を続ける限られたガソリンスタンドに、車が殺到していたのだ。
北海道最大の繁華街・すすきのの灯りも消えていた。自家発電で営業を続けるビジネスホテルは、携帯電話を充電するための電源を求める人でごった返していた。
「開放しているわけではないですが、大変な状況なので、使ってもらっています」(ホテルの従業員)という。
電気が復旧した一部のコンビニエンスストアにも人々が集まっていた。食品を置く棚には何もない。缶詰、菓子、乾電池、充電器類などは完売。
「カップ麺やお菓子でも、なんでもいいので確保しないと」と20代男性は不安げに話した。
新規客を受け入れる宿がなく、カメラマンと2人で、コインパーキングで朝を待った。
7日の早朝から、市内のスーパーには行列ができていた。食料を買おうと、人々が押し寄せていた。
札幌市内でもっとも被害が大きい札幌市清田区里塚に向かうと、地盤が液状化したため、道路が波打っている。住宅街の地盤が1.6メートルも陥没していた。道を隔てて反対側の街区にある住宅には、被害は見られない。
「あとから造成したところだけ陥没している。造成の仕方がおかしかったのか」と、住民は憤っていた。
清田区から約60キロ。土砂災害が広がった厚真町に向かった。空撮映像からは想像できないほど高い場所から、土砂が崩落していたことに驚く。
取材を終え、復旧した新千歳空港に向かうと、空港ロビーは毛布に横になる人であふれ、避難所と化していた。
被災者の苦労を思うと、途方に暮れてしまいそうになる。厚真町の住民の「復興するまで頑張ります」という言葉が胸に響いた。
(週刊FLASH 2018年9月25日号)