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中国のトップ女優ファン・ビンビン「当局に拘束された3つの理由」

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.09.26 11:00 最終更新日:2018.09.26 11:00

中国のトップ女優ファン・ビンビン「当局に拘束された3つの理由」

写真:ZUMA Press/アフロ

 

 中国を代表する映画女優ファン・ビンビン(37)の行方が、世界的な話題となっている。俳優、歌手、モデルの3役をこなす、超セレブな存在ながら、すでに3カ月以上も行方不明となっているのだ。

 

 シャネルやルイ・ヴィトン の広告塔としても大活躍。彼女のブログのフォロワー数は6200万人を超す。昨年だけで稼ぎは50億円とされる。欧米の有名な歌手や俳優を押さえ、収入ランキングでは常に世界のトップ5にランクイン。

 

 

 そんな彼女が6月、チベットの子供病院を慰問して以来、行方不明になっているのだ。毎年、盛大に祝われる9月の誕生日にも姿を見せなかった。

 

 そのため、さまざまな憶測が飛び交っている。中国はもとより、ハリウッドでも日本でも、ワイドショーやSNS上に格好のネタを提供している。これまでのところ、失踪の理由については大きく3つ語られている。

 

 第1が、税金逃れをしたため、当局に拘束され、取り調べを受けている説。「陰陽契約」と呼ばれる二重契約が問題になったというのだが、中国では映画でもテレビでも、出演者が脱税行為に走るのは「業界の常識」である。始末書にサインし、追徴金を払えば済む話。過去の事例でいけば、数カ月か数年の謹慎処分で終わる。

 

 第2が、ため込んだ資金を違法に海外に送金したことがバレたため、綱紀粛正を御旗に掲げる習近平政権に粛清された説。ラスベガスのカジノで恋人と一緒に大金を湯水のように使ったり、不動産や金への投資に血眼になってきたようだが、それがバレたというのだ。このところ、中国では、企業でも個人でも海外送金には厳しいチェックが入るのだが、闇の送金ルートを使ったことで「見せしめ」的に拘束されたという。

 

 最後が、芸能界と政界の癒着がらみで逮捕された説。取り締まりの中心人物である王岐山副主席と深い関係にあったことが、アメリカに亡命した大富豪クオ・ウェンクイによって暴露され、これ以上の悪いウワサを打ち消すために捕まったというもの。その真偽はわからない。

 

 日本では第1の可能性のみ語られているが、真相は第2と第3の組み合わせではなかろうか。中国『証券日報』はこう報じている。

 

「6月に最初の取り調べを受けたときは2日で釈放となった。しかし、8月に再度、拘束された際は、その場で逮捕、監禁となった。現在は、厳しい環境下に置かれ、無罪放免はあり得ず、芸能界復帰の可能性はない」

 

 ともに拘束されている婚約者、俳優のリ・チェン(39)も共謀罪に問われている模様。13歳で女優デビューを果たし、ハリウッドだけでなく、中国の映画市場を引っ張ってきたファン・ビンビン。

 

 これまで何度も日本を訪ね、ショッピングや観光を通じて、日本文化の魅力を中国人に伝えてくれていた。一緒に日本旅行を楽しんでいた恋人リ・チェンの祖父は、抗日戦争の英雄だ。本人は大の日本ファンで、ファン・ビンビンとの新婚旅行も日本を考えていたという。

 

 それもすべて、今では叶わぬ夢となったようだ。
(国際政治経済学者・浜田和幸)

 

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