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すでに1万人超…親日国「ベトナム」で激増する超富裕層

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2018.10.29 16:00 最終更新日:2018.10.29 16:00

すでに1万人超…親日国「ベトナム」で激増する超富裕層

ベトナム初の国産車(公式ツイッターより)

 

 今年、日本とベトナムは国交樹立45周年を迎えた。経済成長の著しいアジアの中でも、特に目覚ましいのがベトナムである。日本では知られていないが、投資可能な資産を3000万ドル(約33億円)以上保有する超富裕層は年々増加しており、すでに1万人を超える勢いだ。なにしろ、過去5年間で13%ほども増加した。

 

 

 このままのペースで増えれば、2026年には増加率でインドや中国を抜き、世界最高記録を打ち立てることになるだろう。共産党の一党支配が続くベトナムであるが、経済政策は自由化、市場原理の重視が基本である。企業関連の法律は日本から導入したものが多い。

 

 人口は増加の一途で、1億人を突破するのも時間の問題と見られる。平均年齢は28歳と若く、消費意欲は旺盛極まりない。結婚ブームで、ブライダル産業は急成長を遂げている。子供の数も多く、戦後の日本を彷彿とさせる。こんな国は世界でも類を見ない。まさに「未来の大国」と言えよう。

 

 国営企業の民営化も盛んで、インフラ分野から製造業に至るまで、ベンチャー精神がみなぎっている。そうした動きを象徴するかのように、2019年にはベトナム初の国産自動車「ビン・ファースト」がデビューする。

 

 日本ではベトナムから急増する技能実習生が脱走したりするニュースが世間を騒がすことも多いが、大半のベトナム人は勉強熱心である。手先も器用で、日本で得た技術や技能を活かして、ベトナムやアジア諸国で新規事業を立ち上げる起業家が多い。宇宙開発やオリンピック招致にも熱心だ。

 

 首都ハノイの郊外には日本人村や韓国人村と呼ばれる高級別荘地が形成され、日本や韓国の駐在員たちが本国では味わえない生活をエンジョイしているが、ベトナムの超富裕層は、こうした外国人駐在員など比べ物にならない優雅な生活を送っている。

 

 その一方で、地方で暮らす54の少数民族の大部分は生活苦に追われている。1998年から「地方改善135計画」がスタートし、全国46省の経済発展と教育、医療環境の整備が進められ、2020年に最終年を迎える。ところが、特に最貧地域に指定されている9つの省では、思うような成果が達成されておらず、住民による不満もつもり積もっている。このままでは、反政府活動の温床になりかねない。
 

 超富裕層と貧困層のギャップを早急に埋めなければ、ベトナムの未来は地雷原を進むことになるだろう。

 

 日本のODA(政府開発援助)最大の受け入れ国であり、アジアでは最も親日度の高いベトナムである。首都ハノイの空港にも、空港と市内を結ぶ陸橋「日越友好橋」にも日本からの支援を感謝するプレートが掲げられている。今後は日本による開発援助をいかに地方に行き渡らせるかが、ベトナムの未来を左右するだろう。(国際政治経済学者・浜田和幸)

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