一方、嘉悦大学教授の高橋洋一氏は、「韓国は、北朝鮮の漁船を日常的に救助していた可能性がある」と語る。
「国連の経済制裁を受けている北朝鮮では、現在石油が手に入りにくくなっています。そんななかで、大和堆まで密漁にやってくる密漁船は、軍から石油の割り当てを受けているはず。つまり、軍の指揮下にあるとみていいでしょう。
北朝鮮軍の傘下にある密漁船を、韓国の軍が救助していたとすれば、北朝鮮による違法操業を、韓国が手助けしていたことになります。韓国軍が自衛隊機に対してレーダーを照射したのは、その現場を隠そうという意図があったのでしょう」
北朝鮮と韓国の不自然な接触。そこでは密漁のほかにも、「瀬取り」がおこなわれていたのでは、との指摘がされている。
「瀬取り」とは、洋上で船から別の船へ荷物を積み替える「密輸」のことだ。物資の瀬取りは、北朝鮮に対する経済制裁を形骸化させてしまう恐れがあるため、海上自衛隊は、海上での警戒監視活動を続けている。
「今回の件に限っていえば、日本のEEZ内での出来事であり、韓国軍の船が出動していますので、そこで瀬取りがおこなわれたということはないでしょう。しかし公海上では、各地で北朝鮮による瀬取りの報告がされています」(前出・伊藤氏)
2018年1月から7月にかけての防衛省発表のデータを見ると、北朝鮮の瀬取りの相手の船籍は、モルディブ、ベリーズ、ドミニカなど多岐にわたる。
そんななか5月3日、東シナ海の洋上で、韓国船籍とみられる船籍不明のタンカー(ページトップの写真右)が、北朝鮮船籍のタンカー(同左)に船体を横づけしているのを、海上自衛隊の艦艇が確認した。韓国の船が、北朝鮮との瀬取りに関与した可能性が発覚したのだ。
日本国政府は、韓国政府に対して事実確認を要求したが、韓国からの回答は「違法取引の事実は確認できない」というものだった。
「これまで、韓国にとって北朝鮮は『前門の虎』というべき存在でした。しかし2018年、南北首脳会談を3度も重ねたことで、もはや敵ではなくなっています。その結果、日本が新たな敵となってきたというわけです」(「コリア・レポート」編集長・辺真一氏)
北朝鮮の傍若無人な振舞いを守る「番犬」となった韓国をこれ以上、図に乗らせてはいけない。
(週刊FLASH 2019年1月29日号)