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元号発表の舞台裏「発表は総理ご自身で」と官房長官が毒饅頭

社会・政治 投稿日:2019.04.02 06:00FLASH編集部

元号発表の舞台裏「発表は総理ご自身で」と官房長官が毒饅頭

 

 4月1日、新しい元号令和」が発表された。じつは政府内には、安倍晋三首相(64)が元号を発表する案があったというのだ。菅義偉内閣官房長官(70)は、官邸のスタッフや番記者に、「総理は字がお上手だし、総理が書けばいい」と漏らしていた。

「菅さんの発言の意図は、『総理が書いて、総理が発表してくれ』ということ。総理が筆をふるったら、菅さんが発表する意味はない」(官邸関係者、以下同)

 


 なぜ菅長官は、安倍首相新元号の発表をさせたかったのか。菅長官の脳裏には、先輩政治家の姿が浮かんでいた。


「『平成』といえば、当時官房長官だった小渕恵三元首相。小渕さんが仕えていた竹下登元首相は晩年になって、『小渕君は元号で顔を残した』と愚痴をこぼしていたそうだ。


 それを菅さんはよく知っていて、あとあと総理から文句を言われたくないんだろう」


 だが、「ビルの谷間のラーメン屋」と形容された小渕氏が、のちに首相の座を射止めたのは事実。新元号の発表は、歴史の1ページとなる。しかし、菅長官は、在任期間歴代最長が見えてきた安倍首相に「忖度」しただけではないという。


「菅氏は、いまや党内でポスト安倍の一角と見られています。二階(俊博)幹事長が、『次は菅さんでもいいんじゃないか』と周囲に話しているくらいです」(与党担当記者)


 もし、前例と異なり、安倍首相がみずから文字をしたためて、新元号を発表していたら、賛否が巻き起こったにちがいない。


「これまで安倍官邸と皇室側に確執があったことは、国民も知るところ。総理自身が発表となれば、『また安倍首相が出しゃばって』と批判が起こることは菅長官だってわかっていたはず」(政治部記者)


 菅長官が「毒饅頭」を安倍首相に向けたのには、将来への野心が透けて見える。


 4月には統一地方選、夏には参院選が控えている。そんななか、改元の1カ月も前に元号を公表することに、安倍政権の支持層である保守派は反発していた。その中核である、「日本会議」の代表委員を務める、加瀬英明氏はこう話す。


「安倍さんを支持しますが、新天皇の即位前に、元号を公表するのは遺憾です。御代替わりの前に公表するのは、伝統にない。5月1日まで待つべきなんです。多少の不便があったっていいじゃないですか」


 皇室研究家の高森明勅氏も、こう付言する。

 

「制定にあたって大事なことは、『天皇の元号』という伝統に照らすと、陛下の『ご聴許』を得ることです。つまり、閣議決定の前に、天皇陛下と皇太子殿下へのご報告がなされるべきなのです」

 

 しかし、憲法第4条で天皇は「国政に関する権能を有しない」と定められている。これに安倍首相は頭を抱えた。

 

「党内の保守系議員も、『新しい天皇陛下が、自分の治世を知らしめるのが元号』と反発していました。折衷案として、発表を前にして天皇陛下と皇太子殿下に、複数の元号案をひっそりと説明する流れになった」(政治部デスク)

 

 しかし、政権の誤算もあった。赤松広隆・衆議院副議長が、官邸の対応に激怒したのだ。

 

「衆参両院の正副議長は、1日発表の直前に菅長官から、元号候補数案の説明を、国会内の部屋で受けることになっていました。

 

 しかし赤松氏は、携帯電話を没収し、トイレにまで職員をつけ、菅長官が公表するまで退室を禁じる、という対応に反発。『三権分立を愚弄している、立法府をなめているのか』と猛反発していました」(野党担当記者)

 

 結果、衆院議長公邸での説明となったが、憤る赤松氏につけ込もうとしたのが、メディアの「元号班」だった。

 

「新聞とテレビ各社は『赤松を狙え』と、取材攻勢を仕掛けていました」(前出・政治部記者)

 

 かくして発表に至った「令和」。永田町の住人たちの暗闘は、まだまだ続く。

 


(週刊FLASH 2019年4月16日号)

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