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韓国の日本大使館「新築より家賃3億円払うほうがマシ」の不遇
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.04.10 23:37 最終更新日:2019.04.11 15:19
4月10日、「朝鮮日報」が韓国・ソウルにある日本大使館の建て替え許可が取り消されたと報じた。
ソウルの在韓日本大使館は、地下1階、地上5階のレンガ色の建物だった。建築から40年近く経っており、日本政府は2012年に建物を取り壊し、新大使館を作ろうとした。
だが、建て替えはなかなか進展せず、敷地は現在も更地のままだ。報道によると、韓国側は日本側に着工するよう再三要請したが、工事がまったく進まなかったため、許可を取り消したのだという。
2017年9月11日付けの中央日報は、「(旧大使館は)高層ビルの森に囲まれたみすぼらしく低い建物のため、ソウル駐在の外交官や特派員たちは『うどん屋』と呼んでいた」と報じている。
新大使館は地下3階、地上6階の予定だったが、近くに朝鮮王朝の王宮「景福宮」があったことが災いした。文化財保護法で、高さ14m以上の建物は禁止されていたのだ。
ところが、実際には周囲に高層ビルが林立している。日本政府は「景観を傷つけない」と主張して建築許可を出すよう要請するが、文化財庁は許可しなかった。
2013年7月に条件付きで認可されるが、敷地から朝鮮時代の文化財が発見されるなど、災難続き。結局、4年たっても工事は始まらず、やむなく日本政府は大使館の機能を隣接する商業ビル3カ所に移転させている。
実は、旧大使館前では1992年から毎週水曜日に反日デモがおこなわれており、まもなく1400回を迎える。日本の政治家の反韓発言があったり、竹島問題が大きくなると、大使館前には大勢のデモ隊が集まるのが恒例となっていた。デモは、2011年、道路向かいに慰安婦の少女像が設置されると、過激さを増していった。車が突っ込んだり汚物を投げられたりもした。
4月10日の聯合ニュースは、「2月末、事前の打ち合わせで大使館側が本国の事情により着工ができず、建築許可の取り消しを受け入れるとした」と報じている。日本政府が大使館の建て替えにきわめて消極的だとわかる。
デモが盛んになったせいで、大使館が近隣のビルに引っ越そうとしたとき、ビル所有者が賃貸交渉に難色を示し、契約に至らなかったことも多かった。おそらく、賃貸料も相場より高いはずだ。
先の「朝鮮日報」によると、日本政府は3カ所の賃借料と管理費で毎月3億ウォン(約3000万円)、年間36億ウォン(約3億5000万円)以上払っているという。
慰安婦や徴用工、自衛隊機へのレーダー照射問題など、対立が続く日韓関係。この土地は日本政府が所有していて、時価1500億ウォン(約146億円)だというが、新築計画はこのまま幻に終わってしまうのかもしれない。