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息子殺害で逮捕の元農水次官、BSEで批判されるも退職金8874万円社会・政治 2019.06.03

 

 6月1日、練馬区の住宅街で、熊沢英昭容疑者が、息子の熊沢英一郎さんの胸などを複数回刺し、殺害したとして逮捕された。農林水産省の事務次官だったこともある熊沢容疑者は、いったいどんな人物だったのか。 

 

 東大法学部を卒業後、1967年に旧農林省に入省。畜産局長や経済局長を経て、2001年1月から事務方トップの事務次官に。絵に描いたようなエリートコースを歩んだが、一気に暗転するのは、2001年9月。国内初のBSE(狂牛病)の感染牛が発見されてからだった。

 

 

 1996年、イギリスで人間へのBSE感染が確認された当時、熊沢容疑者は畜産局長を務めていたが、一貫して「日本では発生しない」と言い続けた。感染ルートとされる肉骨粉の輸入禁止対象をイギリスのみに限定し、欧州諸国からの流入を止めなかったことも、後に追及されている。

 

 さらに、2001年6月、欧州委員会から「日本でも狂牛病が起こる危険性が高い」と警告を受けたにも関わらず、「欧州委員会の評価手法はきわめて疑問だ。日本でBSEの発生事例はなく、安全性は高い」と反論していた。 

 

 それから3カ月後の2001年9月、日本でもBSE感染牛が発見され、以降、次々と感染牛が確認されていく。被害は甚大で、農水省が2002年1月にまとめた試算では、2001年9月の感染牛確認から12月まで、酪農家の収入は全国で633億円も減少したという。

 
 他にも、吉野家が2004年2月から2006年9月まで牛丼の提供を休止するなど、生産者だけでなく、外食産業にまで大きな打撃を与えることになる。 

 

 対応が後手後手に回った結果、熊沢容疑者は辞任に追い込まれた。懲戒免職ではないため、退職金は8874万円満額を受け取っている。

 

 当時、国会では「引責辞任なら退職金は減額すべきではないのか」と指摘されたが、武部勤農水大臣(当時)は「定期の異動」と答え、責任は不問にされた。

 

 退職後、食肉業界団体に天下りしたが、マスコミの取材が入ったことをきっかけに辞退。だが、まもなく農協共済総合研究所理事長に就任。2005年から2008年には、チェコ大使を務めている。

 

 事務次官という頂点から転がり落ち、最後は息子を殺害する事態に。一寸先は闇とは、よく言ったものだ。

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