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22歳女子に旧帝大生…これがリアル「ひきこもり部屋」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.06.22 06:00 最終更新日:2019.06.22 06:00
「本来はそこに住む本人にしか見られない “不可視” の部屋を覗き見ることで、感じられることがあるはずです」
そう語るのは、現代美術家の渡辺篤さん(40)だ。“ひきこもり部屋” の自撮りを募集する「アイムヒア プロジェクト」を企画したのは2018年のこと。ネットなどを通じて、約40人の男女から、160枚ほどの写真が集まったという。
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「『ひきこもりの部屋』に特徴といえるものはありません。ただ、古い家財道具が多い印象があります。なぜか、黒猫もよく目にします」
扇風機が多いのは、「募集の時期が夏だったからでは」と渡辺さんは言うが、“時間が止まった部屋” という印象も受ける。
「川崎や練馬の事件をきっかけに、ひきこもりが社会問題として注目され、私に相談に来られる方も多くなりました」
じつは渡辺さん自身、3年近くひきこもりを経験した。
「誰にでもひきこもる可能性はある。その現実をひとりでも多くの人に直視してもらいたいですね」
ひきこもりの人たちが、自ら撮影した部屋の写真。そこにはひと括りにはできない、それぞれの事情がある。以下では、写真と本人のコメントを紹介する
【リアル「ひきこもり部屋」の自撮り写真館】
《冒頭の写真の本人談》
「よく夜中にコンビニに出掛けては缶チューハイを買って飲んでいます。部屋にゴミがあることで、こんな自分を罰している気がして安心できます」
《本人談》
「学校に行けなくなって、断続的にひきこもって、10年過ぎました」
《本人談》
「22歳・女。発達障害を持っているため、仕事が上手くいかず、何度もひきこもりを繰り返しています。
気持ち悪い自分を愛してあげたくて、インターネットを徘徊しては模索する日々です。『生んでくれてありがとう』と両親に言える日が来ることを祈り、今日も生きています」
《本人談》
「トータルで18年以上ひきこもってます。趣味は筋トレで外出もできます。今は働くのが怖くて、腰痛もあり、仕事を継続することができなく、ここ10年は年金暮らしの親と同居。
最近献血をしたのですが、久しぶりに家族以外の人と話せて嬉しかったです」
《本人談》
「旧帝大で、優等生だったと思う。1年前まではサークルを掛け持ちし、アクティブで社交的だったが、うつ病になってしまいひきこもった。
リストカットやOD(過量服薬)などをしてしまうこともある。自殺未遂をして、ひと月前まで精神科に入院していた。毒親持ちで、解離性同一性障害、境界性人格障害もある」
《本人談》
「中学1年生で不登校になり、それ以降、ひきこもりがちになりました。病院など予定がある日以外は、家にこもっています。猫と遊んだり寝るのが好きです」
《本人談》
「私は就職活動による精神的負担で、電話の音が怖くなって携帯電話の電源を切ったことをきっかけに、ひきこもりになりました。すでに大学の卒業単位は、ほぼ取得し終わっているため、研究室の先生に気遣ってもらいながら卒業を目指していますが、家族と不仲なため、卒業した後の行き先はありません」
※写真はすべて、自身も元ひきこもりである現代美術家、渡辺篤さんによる写真集『アイムヒア プロジェクト』内から、当事者たちが撮影したもの。ウェブサイトにて発売中
(週刊FLASH 2019年7月2日号)