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【下川裕治の隣のアジア】ウィグル人への弾圧を象徴する2つの出口社会・政治 2019.08.23

【下川裕治の隣のアジア】ウィグル人への弾圧を象徴する2つの出口

 

 中国の西端、新疆ウイグル自治区のホータン駅。駅前広場から街に出る地点にセキュリティチェックが設けられ、その出口が2つ。1つがウイグル人用で、もう1つが漢民族用だ。

 

 2018年10月、カシュガルから、タクラマカン砂漠の南縁を進む列車に乗った。終着のホータンに着いたのは午前1時だった。

 

 

 ウイグル人出口にできた長い列に並んだ。外国人はウイグル人と同じ扱いになるからだ。列は進まなかった。待っていると、漢民族の列は誰もいなくなった。すると公安に呼ばれ、漢民族用出口に向かえと言われた。

 

 漢民族用の列が早く進む理由がわかった。セキュリティチェックがないのだ。

 

 回転バーを押すだけで街に出てしまう。ところがウイグル人の列は、荷物をX線検査機に通し、体も検査ゲートを通り、さらにボディーチェック。その先で身分証明書を読みとり機にかざし、モニターに映し出される顔と照合。こうしてやっと街に出る。あまりに露骨だった。

 

 新疆ウイグル自治区でのウイグル人弾圧が加速している。すべてのホテルやバザールの入り口にセキュリティチェック機が設置され、路上検問は頻繁におこなわれる。

 

 カシュガルではすべての店舗に鉄格子がとりつけられ、店員が開けてくれないと入店できない。毎朝10時には鉄パイプ訓練もおこなわれていた。どれも、反政府系ウイグル人の暴動やテロを防ぐことが目的だと政府は説明するが。

 

 駅出口のチェックにウイグル人は素直に従っていた。反発すると、中国が「職業技能教育訓練センター」、人権団体が「再教育センター」と呼ぶ施設に収容されることがわかっているからだ。この施設に対し、国連も、「100万人以上が収容されているという情報が複数ある」と懸念を示している。

 

◯写真・文/下川裕治
 旅行作家。1954年、長野県生まれ。慶應義塾大学を卒業後、産経新聞の記者を経てフリーに。近著に『新版「生きづらい日本人」を捨てる』(光文社知恵の森文庫)。

 

※下川氏が、クラウドファンディングでバングラデシュの小学校校舎修繕プロジェクトを進めています。詳細は以下で。
「バングラデシュのこどもたちに安全な教育環境を コックス・バザールの校舎修繕プロジェクト」
https://a-port.asahi.com/projects/sazanpen/

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