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東京五輪招致「裏ガネ疑惑」がぶち壊した日本のおもてなしの心社会・政治 投稿日:2016.05.15 14:00

東京五輪招致「裏ガネ疑惑」がぶち壊した日本のおもてなしの心

東京五輪の裏金疑惑を報じた英ガーディアン紙

 

 大阪観光大学観光学研究所客員研究員の濱田浩一郎氏が、2020年東京五輪の裏金疑惑報道について考える。


 


 2020年東京五輪の招致をめぐって、招致委員会側から、国際陸連の前会長サイドに約2億2000万円が振り込まれていたと、フランスの検察当局が明らかにした。

 

 金が渡ったのは、国際陸連のディアク前会長の息子が関与しているシンガポールの会社。ディアク氏は1999年から2013年までIOC委員を兼ねており、開催都市を決める投票権を持っていた。

 

 簡単にいえば2億円で1票買った疑惑であり、もし報道が事実ならば、これは五輪返上さえ議論しなければならない大問題である。

 

 オリンピック憲章は9カ条からなっており、そこには、

 

「よい手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重」

「友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解」

 

 といった理念が謳われている。しかし、現実はカネがすべての、たんなる資本主義を象徴するイベントにすぎなかったことが、(いまさらだが)ハッキリした。

 
 御存知のとおり、東京五輪は「おもてなし」という名言で招致に成功したといっていい。では、日本が誇る「おもてなし」の神髄とはいったい何なのか?

 

 わび茶の大成者で、茶聖とも称せられる千利休(1522〜1591)の名言「利休七則」から探っていこう。
 

 1つめは「茶は服のよきように点て」。服とは衣服ではなく、服用の意味。茶人が「これを飲め」と独善的に茶を出すのではなく、客のことを考えて、適度な湯加減と分量でお茶を点てるべきとの教えである。客の気持ちを汲む、気配りのすすめだ。

 

 2つめは「刻限は早めに」。何事にも時間に余裕を持って取り組めば、焦りが軽減される。早め早めに準備する。自分の時間を大切に使うことは、他人の時間を尊重することに繋がる。

 

 3つめは「花は野にあるように」。茶会では、床の間に花を飾る。「野にあるように」と聞くと、山野の花をそのまま飾ればいいように思うかもしれないが、そうではない。余分なものを捨て去った花を飾ることで、その花から自然の風景を想起させよという意味だ。つまり、そぎ落とすことが本質を追求することになり、それが魅力を生む。

 

 招致委員会は、相手の気持ちを思い、余裕を持って、本質的な価値として2億円を渡したわけだ。日本が心をこめて贈った「2億円の花」は見事に咲いた。

 

 七則には他にも「炭は湯の沸くように置き」「夏は涼しく冬暖かに」「降らずとも傘の用意」「相客に心せよ」がある。いずれも客を気持ちよくもてなすための基本だが、それもすべて裏ガネ報道がぶち壊してしまった。

 

 七則は、ある人に「茶の湯の極意」を聞かれた利休が答えたものと言われている。しかしその回答が当たり前すぎて、「そんなことはみんな知っている」と不満を漏らしたそうだ。

 

 すると利休は「この心に適う茶ができるのであれば、あなたの弟子になりましょう」と述べたという。

 

 当然のことほど、単純なことほど、確実に実行するのは難しい。だからこそ、我々は細心の注意を払い、物事を進めていく必要があるのだ。

 


(著者略歴)

濱田浩一郎(はまだ・こういちろう)

 1983年生まれ、兵庫県相生市出身。歴史学者、作家、評論家。現在、大阪観光大学観光学研究所客員研究員。現代社会の諸問題に歴史学を援用し、解決策を提示する新進気鋭の研究者。著書に『日本史に学ぶリストラ回避術』『現代日本を操った黒幕たち』ほか多数

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