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トランプ大統領を、反対派の風船「ベイビートランプ」が追いかける

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.09.19 16:00 最終更新日:2019.09.20 03:51

トランプ大統領を、反対派の風船「ベイビートランプ」が追いかける

 

 トランプ大統領が、資金集めパーティーのため、カリフォルニアに到着した。同時に、反トランプの象徴である「おむつを履いたトランプ」の巨大風船も訪問先を旅している。

 

 この風船はベイビートランプと呼ばれ、おむつ姿で片手に携帯を持ち、不機嫌な顔をしたトランプ大統領の似顔絵が描かれている。身長は7メートルほどあり、ヘリウムガスで膨らますのに45分かかる。

 

 

 最初にお目見えしたのは2018年7月のロンドンで、大統領の訪英に抗議したグループが掲げた。すぐにこの運動はアメリカに渡り、東海岸の活動家が資金を集め、すでに6体のベイビートランプを所有しているそうだ。

 

 今回カリフォルニアに掲げられたのは、西海岸シアトル近郊に住む活動家たちが所有するもの。個人からの寄付で、修理しながら使っている。

 

 シアトルからシリコンバレー、そしてサンディエゴと回る予定で、活動に必要な資金およそ50万円はフェイスブックで2週間かけて集めた。

 

 カリフォルニアと言えば、野党民主党支持者が多勢で、トランプ大統領の共和党からすれば完全な敵地。州がトランプ政権を提訴している数は先日50件を超え、全米一となった。

 

 2016年に大統領がシリコンバレーを訪問した際は、反対派が大量に駆けつけたため、大統領は講演会場の正面玄関を使えず、高速道路の路肩を歩いて車に乗降せざるを得なかった。

 

 今回は、混乱を回避するためか、当日朝までパーティー会場がどこか報道されていない。

 

 訪問予定の10日前に軍用ヘリコプターのブラックホーク2機がNASAの空港に駐機し、住民たちは大統領の訪問が確実だと噂した。しかし、当初の訪問予定地だった高級住宅街を管轄する警察署が「大統領の訪問はない」と否定したことで、情報が錯綜し始めた。

 

 オバマ大統領の資金集めパーティーの際は、10日前から会場周辺に駐車禁止サインが張り出され、住民たちには大体の場所の察しがついていた。

 

 だが、実際に会場となった場所は、当初の予定地よりさらに山の中に入った豪邸エリア。サン・マイクロシステムズ共同設立者の自宅だった。パーティーチケットは一番安いものが1000ドル、最高は2枚で10万ドル。2枚で3万5000ドル以上のチケットを買えば、大統領と写真を撮ることができる。

 

 当日の朝になっても、メディアが会場はわからないと報道するなかで、巨大バルーンは目印の役割も果たした。同じ場所で違う団体による抗議行動も開かれた。規模は大きくなかったが、「トランプチキン」と呼ばれる別の抗議風船が用意され、トランプ大統領の車列が通る道路に面して置かれた。

 

 

 小さな家庭用サイズのベイビートランプやトランプチキンは、アマゾンなどの通信販売で簡単に購入できるが、大型風船を飛ばすのは航空法によって違法となる。それでも反対派は、トランプ大統領を追って、今日も風船を上げ続ける。

 

 役目を終えたベイビートランプは、あっという間にガスを抜かれ、翌日のサンディエゴへと向かっていった。

 

取材・文/白戸京子
写真/Pro Bono Photo・Rachel Podlishevsky

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