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伊勢志摩サミットを守る警視庁「対テロ特殊部隊」マル秘装備
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.05.23 17:45 最終更新日:2016.05.23 17:45
5月26日、27日に三重県で開催される主要国首脳会議「伊勢志摩サミット」。世界中がテロの脅威にさらされる今、日本の警備に死角はないのか。
現地での警備の要は会場となる志摩観光ホテルと中部国際空港だ。
「2010年の横浜APECや2020年の東京五輪と違って、伊勢志摩サミットは会場周辺が市街地ではありません。2つの橋を押さえてしまえば、会場となる賢島(かしこじま)は『密室』同然です。警備のしやすさで伊勢志摩が選ばれたという見方もあります」(警察取材を長く続けるフォトジャーナリストの真田創一郎氏)
一方で、高橋清孝警視総監は「サミット警備の主戦場は首都・東京」と明言している。
「テロリストにとっては東京を狙うほうがインパクトがある。警視庁は特殊部隊(SAT)を都内に残すとみられています。半分は現地、残りの半分は東京を守るというシナリオでしょうか」(真田氏)
当局は警備の青写真をこう描く。
「まずは未然に防ぐこと。国会付近に爆発物処理班を待機させ、検問を強化する。万が一の場合は対処部隊が最小限の被害で食い止めます。隊員は精鋭ぞろい。訓練を見ていても、それはわかります」(真田氏)
初動で現場を制圧するのは、緊急時初動対応部隊(ERT=Emergency Response Team)だ。隊員は全国で約1900人。銃器系の犯罪に対応する銃器対策部隊のなかから選抜された精鋭で編成されている。
命中精度が高い代表的な短機関銃(サブマシンガン)MP5を装備し、現場では射殺も辞さないプロ集団だ。
空から現場に向かうのは、夜間飛行用の赤外線カメラや電線を切断するワイヤーカッターなどを装備したテロ対策ヘリ「おおとり8号」。
「ヘリからロープ一本で頭を下にして降下し、突入。標的を撃ち抜く。普通の隊員には真似できない能力があります」(真田氏)
また、バスジャックなどの場合には、防御のため、装甲板がせり上がり、フロントガラスを覆う機能がある特型警備車で後方から迫る。その際カメラからの映像をモニターで確認しながら運転できるスグレモノだ。
もし現場で銃撃戦となった場合、投入されるのは特殊部隊SAT(=special assault team)。隊員は約300人。重大テロ、ハイジャック、武器を使用した事件に出動する。ERT同様、任務は犯人の逮捕ではなく「排除」だ。
銃器対策警備車は三菱ふそう社製トラックを改造したもので、大きく突き出した車体前部には、障害物排除のための部品「グルップ」が内蔵されている。もちろん銃眼も。
さらに、核、生物・化学兵器に対処するNBCテロ対応専門部隊も存在する。隊員は約200人。NBCとは核兵器(Nuclear)、生物兵器(Biological)、化学兵器(Chemical)の略だ。
化学防護車は格納式リアシートが左右に装備され、4人乗車可能。塗り色は機動隊カラーではなく紺色で、エンブレムなどを排した地味な外観となっている。原因物質の検知・除去、被害者の救出救助などにあたる。
サミットの治安は、ERT、SAT、NBCの三段構成で守られているのだ。
(週刊FLASH 2016年4月19日号)