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「即位の礼」知っておきたい12のポイント

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.10.22 06:00 最終更新日:2019.10.24 20:36

「即位の礼」知っておきたい12のポイント

松の間での「即位礼正殿の儀」(写真は平成のとき、JMPA)

 

 令和元年10月22日におこなわれる「即位の礼」は、古式ゆかしく、難解な伝統行事だ。この記事を読むだけで、その意味がすっと頭に入ってくるはず。皇室ジャーナリスト・久能靖氏が解説する。

 

●即位の儀式・行事は40近くある

 

「5月1日の剣璽等承継の儀や即位後朝見の儀に始まって、いまは即位礼正殿の儀を迎えようとしています。そのほかにも、細かくいえば40近い儀式や行事がおこなわれます。そのなかで中心となるのが、即位礼正殿の儀と大嘗祭に関する儀式です」(皇室ジャーナリスト・久能靖氏、以下同)

 

 

●皇位継承の総費用は166億円

 

 皇位継承にともなう費用は2018年度~2020年度の合計で166億円。招待客や祝宴の回数を減らすなど削減に努めたが、人件費や資材費の高騰により、前回より3割増額となった。「即位礼正殿の儀」には、2019年度予算で10億円があてられている。

 

●全国から警察官が集結

 

 平成の即位の礼では過激派によるゲリラ事件が相次ぎ、警視庁は全国からの応援部隊を含む3万7000人の警察官を動員した。

 

「警備態勢は公開されていませんが、かつてのような過激派対策よりも、現在はドローンなどによる新たなテロへの対応が求められています」

 

雅子さまはお召し替えで大忙し!

 

「即位礼正殿の儀」での天皇陛下は、立纓(りゅうえい)の冠に「黄櫨染御袍」。平安時代以降、天皇が重要な儀式の際に着用する装束だ。纓がまっすぐに立った冠、ハゼ(ウルシ科の落葉高木)の実から染めた装束も天皇陛下だけが着用する。雅子さまの装束は俗にいう十二単。

 

「当日おこなわれる賢所大前の儀では白い十二単をお召しになって、それが終わると、いちど平服に戻って軽いお食事をされて、それから今度は、正殿の儀のための色のついた十二単に着替えられる。それがすむと、宮殿で夜の饗宴の儀のための衣装に着替えられる。当日の雅子さまはものすごくお忙しいんです」

 

●パレードの車は8000万円のセンチュリー

 

 昭和天皇の即位の礼では、皇居から京都御所への移動手段として、列車のほかに馬車が使われた。平成の即位の礼でロールス・ロイスのオープンカーが初めて使われたが、今回はトヨタのセンチュリーを改造したオープンカーが使われる。

 

 後部座席が前列よりも4センチ高く、背もたれの傾きを25度に固定して両陛下のお姿を見えやすいようにした。購入費用は約8000万円。

 

●宮殿の“最高の場所”でおこなわれる「即位礼正殿の儀」

 

 正殿、長和殿、豊明殿、表御座所から構成される宮殿のなかで、正殿は“最高の場所”とされ、ほかの棟より一段高い造りになっている。

 

 部屋は「松の間」「竹の間」「梅の間」の三室があるが、「即位礼正殿の儀」で使われるのは中央の「松の間」。新年祝賀の儀、首相の親任式、勲章親授式など重要な儀式の場にもなる。

 

●天皇の玉座はいつ造られた?

 

 天皇陛下は玉座「高御座」の上から即位のおことばを述べられるが、その歴史は奈良時代の書物に記されているほど古い。今回使われる高御座は大正天皇のときに造られたもので、高さは6.5メートルもある。皇后陛下が昇る「御帳台」は一回り小さく、飾りもやや簡素だ。

 

●京都から運ばれる高御座、その輸送手段は?

 

 高御座と御帳台は、ふだんは京都御所の紫宸殿に置かれている。重さは合わせて約15トン。分解して東京に輸送し、組み立てる。前回、平成の即位の礼では過激派に妨害される危険があったため、自衛隊の輸送ヘリコプターで極秘に運んだが、今回はトラックで輸送した。

 

●「即位礼正殿の儀」の参列者数、基準は?

 

「即位礼正殿の儀」の参列者は、国内外から約2600人。国内では立法・行政・司法の代表や、知事、都道府県議会議長らのほか、民間からも文化勲章受章者など、各分野で顕著な業績を挙げている人などが招かれる。

 

 海外は190カ国以上から国家元首、祝賀使節、駐日外国大使などが招待されている。
「ノーベル賞を受賞した吉野彰先生も出席されると思います」

 

●饗宴の儀のメニューは?

 

 10月22日と25日、29日、31日の4日間で計4回催される「饗宴の儀」。前回に比べ、3回減らしたうえで、招待者も2600人に抑えた。
「今回は立食もあって簡素化しています。メニューは和洋折衷です」
 外国元首など向けのメニューには、かすご鯛姿焼き、牛肉アスパラ巻、伊勢海老葛打などの和食も並ぶ。

 

●大嘗祭に使われる米は栃木産と京都産!

 

 皇位継承に際しておこなわれる重要な祭祀「大嘗祭」。新穀を神々に供え、天皇自身もそれを食する。大嘗祭で使われる米を作る「斎田」は、アオウミガメの甲羅を薄く削って焼き、亀裂の入り方で吉凶を占って決める。

 

 斎田は東日本と西日本から1カ所ずつ選ばれ、今回は東日本は栃木県高根沢町、西日本は京都府南丹市となった。そのなかで、どこの田の米にするかは、地元農業団体の推薦で決めるという。

 

●「嵐」と両陛下がご対面する?

 

 11月9日、即位の礼とは別に、天皇陛下の即位を祝う式典が政財界有志の主催で開かれる。人気グループ・嵐も出演するとあって、会場の皇居前広場などに約6万人が集まると予測されている。

 

「過去には上皇陛下の天皇即位10年をお祝いする国民祭典でX JAPANのYOSHIKIさんが演奏したり、即位20年をお祝いする国民祭典でEXILEが歌とダンスを披露しています。今回も、天皇陛下が出席され、おことばを述べられるはずです」

 

(週刊FLASH 2019年11月5日号)

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