社会・政治
千葉はまたも大水害「殺人台風」本州直撃は「あと3年続く」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.10.30 06:00 最終更新日:2019.10.30 06:00
9月に千葉県を直撃し、暴風による多大な被害をもたらした台風15号。10月の台風19号も、大雨による土砂災害や洪水で、全国で90人近くもの死者を出すという惨禍になった。
そして追い討ちをかけるように、10月25日の大雨で、千葉県を中心にまたも浸水被害が。
【関連記事:写真で検証「台風19号」被災地に広がる苦悩の声を聞け】
同県市原市内では、養老川と神崎川が氾濫し、各所が浸水した。冒頭の写真は10月25日の、氾濫後の養老川の支流・新堀川。本来、橋桁になっている部分が丸ごと水にのみこまれていた。
また、道路の低い部分が冠水。通行できる部分も狭くなり、交通は麻痺した。強引に突っ切る車もあるが、水害で故障した車や、立ち往生し、「怖くて運転は無理。迎えを待っている最中」と嘆く市民もいた。
さらに、同市内では、浸水被害に遭う住宅街もあり、同日午後にかけて、救急サイレンが鳴り続けていた。住民が、消防士の手を借りて自宅から避難する場面も。
この大雨も、やはり異常に発達した台風21号の影響だった。
「台風21号は、日本の東を離れて北上しましたが、非常に強い勢力に発達していました。その湿った空気が、日本の太平洋沿岸を進む低気圧に向かって送り込まれたのです」(気象予報士・荒木真理子氏)
これほどの激しい台風、大雨が立て続けに関東を襲うのは、きわめてまれなことだ。いったい何が起きているのか。
「台風15号に関しては、じつは9月の台風経路としては通常で、珍しいこととはいえません。
ただ19号は、10月の通常の経路よりは大きく北よりに進み、関東や東北を直撃することになりました。理由は、夏の高気圧が10月になっても強かったため。それが、本州に台風を誘導するような経路を作ったのです」(荒木氏)
気象予報士の饒村曜氏も同意見だ。
「台風は、太平洋高気圧の縁辺を回るように進むことが多い。2019年は、例年より太平洋高気圧が張り出していたので、その縁を回ってきた台風が、ちょうど東京近辺に来たということだと思います」
台風15号は、関東に上陸したものとしては観測史上最強クラス。19号も、勢力は最強クラスで大型。記録的な豪雨を広範囲にもたらした。
今後も、同じような被害は繰り返されるのか。災害史の専門家で、立命館大学教授の高橋学氏は、こう説明する。
「よくいわれる『地球温暖化』ではなく、今年、関東近辺の海水温が、平年より3度も高い27度だったことが、台風巨大化の原因です。そのため台風が勢力を保ったまま関東に来てしまったのです。この海水温が高い傾向は2、3年続く可能性があります。少なくとも、その間は警戒が必要です」
一方、南からはこんな声が。
「昔は年10回は台風が来ていたけど、最近は変わったね。沖縄本島を直撃することは、ほぼなくなってラクになったよ」(那覇市在住の40代男性)
沖縄の台風対策を本州で受け継がねば――。
(週刊FLASH 2019年11月12日号)