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開催地変更でグレタさん困惑…国連COP25で馬糞も登場の大混乱
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2019.12.17 07:00 最終更新日:2019.12.17 07:49
温室効果ガスの削減の枠組みなどを協議する国連のCOP25が、紛糾の末、予定を2日延長して15日に閉幕した。
特に、削減量を国際的に移転する取引ルールについて足並みが乱れ、合意は来年以降に先送りされた。アントニオ・グテレス国連事務総長は「結果に失望した」と表明、環境保護団体にも落胆が広がった。
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離脱を決めているトランプ大統領は誰も会議に派遣しなかったが、野党が15名の議員代表団を国の代表として派遣。他にも元副大統領で環境活動の大御所アル・ゴアや俳優のハリソン・フォード、政治家で実業家のマイケル・ブルームバーグなどが現地で活躍した。
ブラジル、中国、インド、インドネシア、南アフリカの温暖化ガスの排出量は右肩上がりで増えている。特に人口が急激に増加し、大気汚染が深刻化しているインドは、今後も排出量が増加するため、早い時期での対処が求められている。
日本は、小泉進次郎環境相が成果をアピールしながらも不名誉な化石賞を2度も授与されたが、どういう位置づけなのだろうか?
日本は世界で5番目の温室効果ガス排出国だ。二酸化炭素に換算すると1年間に約12億トン排出している。排出量自体は2013年以降、減少傾向にあり、環境省の速報値では2018年度に過去最小を記録している。
2010年に10%しかなかった太陽光や風などの再生可能エネルギーが、2017年には16%まで増加した。だが、石炭火力発電を国内外で新設・増設する計画を続けており、脱炭素へ舵を切る主要国の流れに反している。
地方自治体や企業、NGOなどが参加する大規模ネットワーク「気候変動イニシアティブ・Japan Climate Initiative(JCI)」が立ち上がり、400を超える団体が削減に努力しているが、その努力は世界から、まったく評価されてないのが現実だ。
今回のCOP25では、大規模排出国に対し、EUや島しょ国の主張が対立し、合意に至らなかった。
実は今回の会議は、開催前から大揺れだった。ホスト国のチリが開催4週間前に社会的混乱を理由に中止を発表、急遽スペインのマドリードで開催されることになった。
困ったのは16歳の環境活動家・グレタ・トゥンベリさん。チリに照準を合わせアメリカ大陸で活動中だったが、開催地変更によって大西洋を渡る必要に迫られた。環境への悪影響が高い飛行機には乗らないため、助けに応じてくれたオーストラリア人のヨットで3週間かけて移動することになった。
会議では派手なデモ活動も注目を浴びた。グレタさんが続けている金曜日のスクールストライキはマドリードの路上に50万人を動員。
シェルなど石油会社がスピーチする会場では、座っていた活動家が一斉に耳を塞いで部屋から退出するデモンストレーションしたり、シュプレヒコールをあげた200名以上の活動家らが会場から強制排除されたり。終盤には、会場前に大量の馬糞が投棄されたりもした。
昨年の国連IPCCの報告によると、このままのペースで地球温暖化が進むと、早ければ2030年、産業革命前に比べ平均気温が1.5度上昇する可能性が高いという。今後もますます反対活動が活発化しそうだ。(取材・文/白戸京子)