1月31日、新型肺炎の感染が拡大している中国・武漢から、149人の日本人が3機目の政府チャーター機で帰国した。うち10人は発熱などの症状が出ており、羽田空港から都内の病院に搬送されている。
日本の大手航空会社といえば全日空(ANA)と日本航空(JAL)だが、今回のチャーター機は3機ともANAだった。なぜ、JALではなく、ANAが選ばれたのか。
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ANA広報に問い合わせてみた。
「弊社は、2016年4月末から、武漢への直行便を出している国内唯一の航空会社です。これが、今回選んでいただいた理由のひとつとしてあると思います。2015年の時点で訪日旅行の需要が高まったことに加え、武漢への日系企業進出が増加し、ビジネス方面での需要も高まったため、新設いたしました」
普段は、成田空港から武漢までの直行便が、1日1便のペースで飛んでいる。チケット代は片道9万9350円(31日時点)。政府が要求した「乗客の自己負担8万円」という額は、金額としては妥当だったといえそうだ。
もし、ANAが武漢への直行便を出していなかったら、一体どうなっていたのか。航空関係に詳しい専門家によれば、「JALだって、武漢まで飛行機を飛ばそうと思えば飛ばせます。彼らはプロですよ」という。
「ただ、飛ばすためには武漢までのルートを確認し、パイロットにCA、武漢空港に待機するグランドスタッフたちを揃えないといけない。いくつものハードルをクリアするタイムロスは否めません。今回は、中国の10都市11空港に飛ばしているANAが、即座に対応できて幸いでした」
チャーター機内では、CAたちがマスク・手袋を着用して接客した。さらに搭乗したCA全員を2週間乗務から外すなどの対策をとっているという。
1月31日には、ANAの平子裕志社長が「今後、中国便の運休を考えざるを得ない」と会見で語っている。新型肺炎の勢いは落ちておらず、まだまだ事態は収束しそうにない。