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新型肺炎「自己防衛策」どこまでセーフ?どこからアウト?

社会・政治 投稿日:2020.02.06 06:00FLASH編集部

新型肺炎「自己防衛策」どこまでセーフ?どこからアウト?

「マスク」と書かれた段ボール箱に、もたれかかる男性

●議題(6)会社が社員に、「最近武漢に行った家族がいるか」を強制調査することはできる?

「業務命令として、回答を求めることは可能です。拒否されれば、軽い懲戒処分などなら下せるでしょう。調査をおこなう理由を説明し、納得させたうえで答えてもらうのが適切です」(藤川氏)

 

●議題(7)「今は人込みに出たくない」という理由で、勝手に在宅勤務することはできる?

「感染が拡大する状況によります。東京や大阪のような大都市で、パンデミック(感染爆発)という事態になれば、在宅勤務にも妥当性があるといえます。しかし、現段階では無理だと思います」(波多野氏)

 

 だが、食い下がってみる価値はあるようだ。

 

「許されない可能性が高い。ただ、在宅勤務や交通費についての規定がもともと定められていれば、認められる場合もあります。安全配慮義務などの観点から、上司や人事担当者に対して、説得を試みる価値はあります」(藤川氏)

 

●議題(8)満員電車で通勤したくないので、タクシーか自家用車で通勤したい。その費用を会社に請求できるか。

「これも、感染拡大の状況次第。『満員電車に乗ることが危険だ』とされるなら別ですが、現状では難しいと思われます」(波多野氏)

 

●議題(9)中国人社員の自宅に、中国から家族が避難してきた。その社員を出社停止にできる?

「たとえば、その家族が武漢から逃げてきて、新型肺炎の症状が出ている人がいる場合なら、潜伏期間のうちは、自宅待機命令を出すことに問題はないでしょう。逆に、対処をせずに社内で感染が広がれば、会社が責任を問われることになりかねません」(波多野氏)

 

●議題(10)職場の士気を上げようと、全員参加の飲み会を予定していたが、部下が「今は人が集まることは避けるべき」だと言う。参加を強制してもいい?

「そもそも飲み会の強制は、パワハラに当たる可能性があります。ウイルス感染について敏感な現状では、なおさら強制はできません。飲み会以外の方法を考えて、職場の士気を上げるべきです」(藤川氏)

 

●議題(11)新型肺炎に罹り、ほかの社員にうつすなどして、職場に感染を広げた場合、自分は会社に訴えられてしまうのか?

「自分が感染していることをわかっていながら出社していたとしたら、アウトです。損害賠償請求を受けることもありえます」(波多野氏)

 

●議題(12)タクシー運転手は咳をしている客を乗車拒否できる?

「入店拒否のケースと似た話ですが、タクシーの場合だと、『道路運送法』によって、乗車拒否が許されない原則があり、入店拒否のケースより乗客からクレームを言われる危険が高く、タクシーの運転手さんは、断るべきかどうかむずかしい立場に置かれてしまうと思います」(波多野氏)

 

●議題(13)自分の子供が通う学級に、新型肺炎患者が発生した都市から中国人の子供が転入してきた。学級閉鎖を求められる?

「繰り返しますが、『中国人だから』ということを理由にすることは許されません。判断材料となるのは、その子供が感染しているかどうか。

 

 ただその場合、学級閉鎖よりも、疑わしい症状がある子に休んでもらうほうが現実的といえるでしょう」(波多野氏)

 

 2月1日、新型コロナウイルスによる肺炎を、感染症法上の「指定感染症」とする政令が施行された。だが、労働関係の法律では、感染症についての基準が曖昧だという。

 

「自分自身で、勤め先の就業規則などの関連規定を参照するのが大切です。不安を持ったら、弁護士などに相談しましょう」(藤川氏)

 

 パニックにならず、「正しく怖がる」ことが、いちばんの対策なのだ。


(週刊FLASH 2020年2月18日号)

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