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ソフトバンク孫正義が語る「未来の日本」を象徴する3つの数字

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2016.07.04 11:00 最終更新日:2016.07.04 11:00

ソフトバンク孫正義が語る「未来の日本」を象徴する3つの数字

 大阪観光大学観光学研究所客員研究員の濱田浩一郎氏が、ソフトバンクの孫正義社長に見えている未来の姿を紹介する。

 


 

  ソフトバンクの爆走が続いている。投資も順調で、中国のネット販売大手「アリババ」株や、フィンランドのスマホゲーム大手「スーパーセル」株の売却で、2兆円近くの現金を手にした。

 

 こうした投資を指揮してきたのが、グーグルからヘッドハンティングされてきたニケシュ・アローラ氏だ。アローラ氏は次期社長だと目されてきたが、孫社長が「まだ社長を続けたい」とのことで、退任が決まった。

 

 次々に新規事業に手を出す孫社長は、今後どのような事業展開をするのか。おそらく、いま一番興味があるのはペッパーをはじめとするロボットだろうが、孫社長の発言から、ソフトバンクの考える未来の姿を覗いてみたい。

 

 2015年10月22日、孫正義社長は後継者養成学校「ソフトバンクアカデミア」で講義し、独自の未来予測を披露している。このとき、キーワードになったのが「シンギュラリティ」という言葉だった。これは、人工知能が人間の知能を超える日という意味だ。

 

 孫社長はこの「シンギュラリティ」が2018年ごろにやってくると想定していて、これに関する驚きの数字を3つあげている。それを順番に見てみよう。

 

 人類の知能はIQで計測されることが多いが、一般人が100としたとき、アインシュタインやレオナルド・ダ・ヴィンチら天才は200くらいだっとされる。ところが、人工知能のIQは30年後くらいに、なんと1万になっているというのだ。

 

 人間の脳はニューロンという神経細胞がくっついたり離れたりして機能する。電流のオン・オフと同じだから、これはコンピュータと一緒だ。これが2018年に人間に追いつき、さらに、2045年ごろには人間の100倍になる。  

 

 2つめの数字はロボットの数に関するもの。今この地球上には70億人くらいの人間が住んでおり、30年後には100億人くらいになる。そして、そのころ、ロボットの数が人類の数を超えているというのだ。

 

 ペッパーみたいな人型ロボットが100億あるわけではない。車は「走るロボット」になっている。空には「空飛ぶロボット」ドローンが縦横無尽に飛んでいる。ありとあらゆる形のロボットが地球上に生まれ、それがすべてインターネットにつながっているわけだ。

 

 3つめの数字は、このインターネットにつながる機器の数だ。いま我々はスマホやPCなどを所有していて、平均すると人類1人あたり2台くらいの機器を持っている。これが30年後には1人あたり1000個になるという。

 

 これは電化製品だけでなく、ありとあらゆるものがインターネットにつながることを意味する。冷蔵庫やテレビがネットにつながるのは当たり前。30年後には靴も眼鏡もシャツもボールペンもネットにつながっている。

 

 3つの数字を整理してみよう。30年後には、人間の100倍の知能を持ったIQ1万のロボットが100億台あり、身の回りには1000個以上の端末が存在、それらがすべてインターネットでつながっているのだ。

 

 いかにもソフトバンクの独壇場となりそうな未来だが、こんな時代がきたとき、我々の生活はどうなるのか。

 

 孫社長自身は、「私は楽観的に物事を考える性格ですから、こうした未来は、人類にとってきっと素晴らしいものになると信じています」と語っている。

 

 30年後には、当然、言葉の壁は消えているし、事故のない車社会もできる。今まで人類が解決できなかったウイルスの制圧や大災害を防ぐ知恵なども提供してくれるだろう。それは、人類にとって破滅ではなく、進化であり、調和がもたらされると孫社長は語る。

 

 未来がどうなるかを、私たちは知るすべがない。だが、「パソコンの父」と呼ばれるアラン・ケイは、「未来を予測する最善の方法は、未来を発明することだ」という名言を残している。

 

 孫社長は自分で発明し、未来を創造していくのだろう。凡人である我々に未来をつくる才能はないが、孫社長やアラン・ケイの考え方を知っていれば、自分の将来をよりよくすることくらいはできそうだ。

 

 あと30年たてば、人工知能がよりよい将来を教えてくれる。しかし、逆に言えば、あと30年は、自分で物を考えていくしかないのだ。

 


(著者略歴)

濱田浩一郎(はまだ・こういちろう)

 1983年生まれ、兵庫県相生市出身。歴史学者、作家、評論家。現在、大阪観光大学観光学研究所客員研究員。現代社会の諸問題に歴史学を援用し、解決策を提示する新進気鋭の研究者。著書に『日本史に学ぶリストラ回避術』『現代日本を操った黒幕たち』ほか多数

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