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ボーイングが倒産危機…737MAX運航停止に新型肺炎が追い打ち
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.03.12 22:44 最終更新日:2020.03.12 22:44
3月12日、アメリカの航空機メーカー「ボーイング」社に倒産の危機が迫っていることを、ブルームバーグが報じた。生産停止中の「737MAX」の生産再開に備えるため、138億ドル(約1兆4300億円)の融資枠を確保していたが、今週中にも使い切ってしまうという。
「737MAX」は、ボーイング社が製造する小型ジェット機の最新作。2017年から運航を開始したが、2018年10月にインドネシアで墜落事故が発生。2019年3月にはエチオピアでも墜落し、世界的に737MAXの運航が停止された。ボーイング社は、現在も同機の生産を停止している。
航空産業に詳しい関係者が、同社の状況についてこう語る。
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「ボーイング社の737シリーズといえば、50年以上続くベストセラーです。レガシー機といっても過言ではないでしょう。その最新鋭機・737MAXの運航停止で、約9兆円分の新規受注が失われたと聞きました。相当な打撃を受けているはずです。
競合他社のエアバス・A320シリーズによる追い上げも、逆風の一因でしょう。それに加え、今回の新型コロナウイルスによって、人の行き来が大きく減少し、新規需要がさらに減りました」
コロナウイルスは、航空業界に大きな影響を与えている。
3月5日には、IATA(国際航空運送協会)が、世界の航空会社全体で2020年に最大1130億ドル(約11兆6000億円)の損失があるだろうとの予測を発表した。実際、同日にイギリスの航空会社フライビーが破綻している。
「ただし、米国の巨大企業・ボーイングが、そう簡単に倒産するとは思えません。アメリカでは、倒産法にあたるチャプター11がすぐに適用されるため、債務者主導による債務整理や経営再建が比較的簡単に進みますから。
かつて、ユナイテッド航空が9.11同時多発テロの影響で経営が悪化し、チャプター11の適用を受けましたが、2006年には経営再建に成功しています。
リーマン・ショックの後はアメリカン航空が同じくチャプター11を申請しましたが、やはり経営再建しています。今回、もしも危機的状況になったら、同じような動きになる可能性があります」(前出の関係者)
かつてDC-8やDC-9といった著名な旅客機を製造していたダグラスは、ベトナム戦争の資材不足などの影響で、マクドネルに吸収された。合併後のマクドネル・ダグラスは、MD-11の不振を受け、ボーイングに吸収されている。
ボーイングの “着陸” 地点は、一体どこになるのか。アメリカで唯一の大型旅客機メーカーだけに、今後の動きが注視されている。