●「オフィス見せてください」を避けたい…零細企業の全力採用術
2001年から3年間の勤務弁護士経験を経て、2005年に弁コムを起業した当初から、人事面では苦労が絶えなかった。
「弁コムは当時でいう “零細企業” で、まさに吹けば飛ぶような会社でしたから、採用は困難を極めました。うちのサービスをPRする機会という側面もありますから、ひとりあたり2時間ぐらいかけて丁寧に面接したんです。
まずは履歴書を、相手の人生を具体的にイメージできるまで読み込みます。そして面接が始まると、『どこで生まれました?』からスタートして、学生時代の部活やバイト、転職の方は職歴まで、余すことなく聞きます。
それが終わると、会社資料をもとに僕が弁コムのプレゼンをみっちりする。1mmも疑念が残らず即決してもらえるように、Q&Aセッションもたっぷりとります」
ただ、創業当初の弁コムには、“アキレス腱” があった。
「『オフィスを見たいんですが』と言われることを、すごく恐れていました。当時の弁コムは、弁コムの赤字の補填役を担っていた、僕が代表弁護士を務める『法律事務所オーセンス』のオフィスに間借りし、“ねこの額” で操業していたからです。
求められれば見せるつもりでしたが、『できれば面接をしているこの会議室で即決してもらいたい』と、弁コムのビジョンや将来性、僕の人となりに集中してもらえるよう、全精力を注ぎました。結果、最初の10人は、オフィスを見たいというリクエストを受けることなく、入社してくれています(笑)」