社会・政治
新型コロナで見抜く「コメンテーターの正体」完全マトリクス
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.04.01 06:00 最終更新日:2020.04.01 06:00
朝から晩までテレビは、“新型コロナ” 一色。多くのコメンテーターが出てくるが、誰を信じてよいものか――。
そこで本誌は、医療分野での豊富な取材歴や著作があるジャーナリスト・村上和巳氏の監修で、彼らをマトリクスで分類した。それが冒頭の図だ。
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「新型コロナウイルスについては、現状では不確かなことが多い。なので、『診療の実情に即した意見かどうか』が重要です。感染症治療の専門性の高い知見が、市民の行動や公衆衛生政策に反映されないと、社会不安が煽られるだけになってしまう」(村上氏・以下同)
まずマトリクスで分けるうえで基準としたのは、「日本感染症学会認定の専門医資格を持つ医師」かどうか。同学会は、日本で感染症の診療に従事する、医師の専門団体だ。
「認定医には、一定の症例数、発表論文数、研修などの条件を満たし、試験に合格しないとなれません。同学会の会員のうち、認定医は約10%ほど。臨床現場を多く踏んでいる専門家たちです。
認定専門医ではなくとも、尾身茂先生や和田耕治先生などは、感染症の封じ込めなどで実績がある方。こうした識者は、公衆衛生政策の専門家と言えます」
コメンテーターの間で意見の分かれた「PCR検査の対象者」についての議論では、感染症専門医たちは、エビデンスに基づいて発言をしていた。
「PCR検査には、膨大なコストや人員が割かれるうえ、現状では、実施できる場所も限られています。また陽性と判定できる確率は約7割という指摘もあり、専門医の多くは、『怪しい人に検査を実施すべき』と主張しました。
しかし一方で、上昌広先生などの方々は、『希望者全員にPCR検査を実施すべき』などとコメントし、反響を呼びました」
視聴者の不安に寄り添うコメンテーターは、お茶の間の支持を集めているのも事実だ。
「エビデンス重視で歯切れの悪い専門家のコメントに、視聴者が苛立ちを覚えることが多い。それよりも、メディア出演実績の多い医師を、テレビ局は起用しがち。上先生や久住英二先生がいる『ナビタスクリニック』の方々は、代表的な例です。
ただ岡田晴恵先生のように、歯切れがよくても感情的で事実関係が曖昧なコメントには、危うさも感じます」
不安が募るときこそ、慎重に考えたい。
※図の見方・注釈/ジャーナリスト・村上和己氏の監修のもと、本誌が作成した。図中敬称略。
・縦の軸は、「専門医」か「非専門医」かを指し示す。日本感染症学会が認定している専門医、公衆衛生や感染症対策の資格や実務経験の有無で分類した。
・横の軸は、「医学エビデンス重視」か「社会不安重視」かで分類。「社会不安重視」とは、視聴者や読者の不安に寄り添うコメントが多い傾向にあるかで分類した。
また、それぞれのコメンテーターの位置が、専門性の高低やエビデンスに基づく発言の寡多を示してはいない。
表内の写真・朝日新聞、時事通信
(週刊FLASH 2020年4月14日号)