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フランスとアメリカ5空母でコロナ患者…なぜ多発するのか?

社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.04.09 00:13 最終更新日:2020.04.21 22:06

フランスとアメリカ5空母でコロナ患者…なぜ多発するのか?

横須賀に配備中のロナルド・レーガン(写真・米海軍)

 

 4月8日、フランス国防省が、フランス海軍の空母「シャルル・ド・ゴール」内で、約40人が新型コロナウイルス感染している可能性を発表した。症状のある乗組員は治療中で、いまのところ、症状の悪化は認められていない。

 

 シャルル・ド・ゴールは、アメリカ海軍以外で唯一の原子力空母で、現在、大西洋に配備されている。艦内には約20人の医療チームがおり、100カ所ほどの患者隔離スペースや蘇生装置などの医療設備が整っている。8日には感染拡大を防ぐため、検査チームが空母に派遣される。

 

 

 空母での感染は、アメリカ海軍でも発生している。3月末、原子力空母「セオドア・ルーズベルト」での集団感染が報じられた。同艦では、4月6日までに乗組員173人の感染が確認され、SOSを出した艦長はメディアへの情報漏洩により解任処分となった。だが、海軍の強引な対応に批判が集まり、海軍トップのモドリー長官代行が辞任する事態になっている。

 

 アメリカの政治専門サイト『ポリティコ』によれば、さらに3つの空母でも感染者が出ているという。ワシントン州の基地にいる原子力空母「ニミッツ」1人、ワシントン州でメンテナンス中の「カール・ビンソン」1人、日本でも、横須賀基地に配備されている原子力空母「ロナルド・レーガン」で、乗組員2人の感染が確認された。

 

 なぜ、ここまで空母で感染が起きるのか。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏がこう語る。

 

「そもそも軍隊は集団生活です。社会的距離を取ることも難しいですし、テレワークができる職種でもない。同様の集団感染は、各国の基地でも発生していると聞きます。さらに、空母は閉鎖空間でありながら、搭乗している人数も多い。感染拡大は起きてしかるべきです」

 

 アメリカ海軍が保有する空母は11隻。そのうち4隻も感染したとなると、軍事的ダメージが大きいのではないか。

 

「現段階では、空母の感染によって、軍事的なバランスが崩れるとはいえません。いまはもう、各国の安全保障は、軍事よりコロナ対策に移っている。その意味では、軍事的緊張は非常に緩和されている。どこの国も、いま戦争する余裕なんてないですから。

 

 今後の軍事バランスは、正直読めません。どこの国で、どう感染が広がるかによります。現時点では、中国のダメージがかなり大きい。峠は越えたような印象ですが、軍事産業はしばらくストップします。中国は3隻目の空母を製造中ですが、相当遅れが生じるでしょう。

 

 アメリカは、健康問題に関してかなり神経質な部分があります。そのため、他の国の軍隊より医療資源が強いのが特徴です。ただ、本国でかなり感染が拡大しているため、どれだけフォローできるかはわからない。今後の感染状況を注視していくほかないでしょう」

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