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コロナ詐欺が激増中…殺し文句は「米国発」「特殊消毒」
社会・政治FLASH編集部
記事投稿日:2020.04.22 06:00 最終更新日:2020.04.22 06:00
「名簿屋から買った老人の住所リストを使い、各家庭を回っています。外出自粛中ですから、老人は、みんな家にいる。簡単に騙せるので、10日間で1100万円を稼ぎました」
そう豪語するのは、高齢者を対象に、新型コロナ騒動に便乗した詐欺を繰り返しているA氏(45)だ。
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許しがたい話だが、この非常事態で自分の両親が不安につけこまれて被害に遭ったら、目も当てられない。被害を予防するために、怒りを抑えて具体的な手口を聞こう。
「騙すのに大事なのは、服装です。私たちは、真っ白な業務用マスクに、新調したきれいな作業服で、清潔感を前面に出した格好をします。そして老人宅を訪問し、“心配事はありませんか?” と話しかけるんです。外出自粛で退屈している老人が多いので、話を聞いてくれます。
しかも多くの老人が、テレビのコロナ一色の報道に影響を受け、強い恐怖心を抱いているんです。ある老人は、『まるで戦時中みたいだ』と、つぶやいていました」
そこで彼らは、すかさず “売り込み” をおこなう。
「iPadを取り出し、たとえば自宅を消毒した場合と、しない場合の新型コロナの罹患率の違いなど、事前に用意しておいた嘘八百の営業用データを見せるんです。
殺し文句は、『アメリカで開発された、コロナに効く特殊な消毒液を特別に持っている』です。『これで自宅の清掃、消毒をしませんか』と提案します。料金は、最低でも50万円です」
さすがに高額すぎるようにも思えるが、1日に数軒は “騙せる” という。
「朝の7時から動き出して、1日に最低でも2軒か3軒は、“消毒” できます。適当なオプションをつけ加え、最高で1軒130万円の契約を結んだこともあります。
怪しまれないように、実際に “清掃” はしますよ。コロナには、効かないと思いますが(笑)。このお金を元手に、信用力を高めるために、バンの新車も購入しました」
これだけでもひどい話だが、「コロナ詐欺が激増している」と警鐘を鳴らすのは、元神奈川県警刑事の犯罪ジャーナリスト・小川泰平氏だ。
「外出自粛の影響で、2月~3月は事件そのものが3割減っています。一方で、4月に入ってから、振り込め詐欺の被害が2割も増えており、不審な電話も倍増しました。
とくに静岡県では、『東京保健センター』を名乗り、『最低金額3万円で自宅を除菌します』という電話が、頻繁にかかっているそうです。当然、お金だけ振り込ませて、何もしません。
感染した際の死亡率は、高齢者が際立って高いということも相まって、70代や80代の方は、新型コロナにきわめて敏感になっている。彼らは詐欺師にとって、格好の餌食になっているのでしょうね」
しかも、今後は “消毒詐欺” 以外に、さまざまな種類の詐欺が登場するはずだという。
「今後、国民1人あたり10万円が支給されることになれば、それに乗じた振り込め詐欺が増えるに違いありません。
大事なのは、『お金の話をする電話は、すべて詐欺だ』と肝に銘じることです。よい機会ですから、現役世代の方は、両親に注意喚起するのがよいでしょう」(同前)
A氏もまた、「見知らぬ訪問者は、いっさい相手にしないことが大切だ」という。
「私たちは、CNNなどの海外の最新ニュースまでチェックして、セールストークを考えています。なので、私たちの話を聞いて怪しいかどうかを判断しようとしたって、言いくるめられてしまうだけ。そもそも玄関先に出ず、相手にしないのが大事ですよ」
A氏は、緊急事態宣言が続くうちは、利益を上げられると考えている。
「当分、これで儲けるつもりです。私の本業は高所作業員ですが、五輪も延期になり、ホテルの新設バブルも終わりそうです。こんなことやめたいけど、私たちだって苦しいんですよ――」
いますぐ両親に電話して、“コロナ詐欺” の手口を伝えておこう。
写真・朝日新聞
(週刊FLASH 2020年5月5日号)