新型コロナウイルスが、世界中で猛威を振るっている。1年延期された東京五輪を筆頭に、多くのスポーツで、試合の延期や中断が相次ぐ。そんななか、海外で活躍する日本人サッカー選手は何を思い、どう過ごしているのか。
ドイツ・ブンデスリーガ2部の「シュトゥットガルト」に所属する日本代表の遠藤航(27)に、Zoomで取材した――。
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Jリーグ同様、ヨーロッパ各地のプロサッカーリーグでも新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく、フランスやオランダ、ベルギーでは、すでにシーズン途中でのリーグ打ち切りが決定。イングランドやイタリア、スペインなどもリーグ中断を強いられている。
そんななか、5月16日にヨーロッパ主要リーグの先陣を切って、約2カ月ぶりにリーグを再開したのがドイツだ。
「まずは、(5月17日のウィースバーデン戦で)久しぶりにピッチに戻ってこられた嬉しさがあります」
遠藤は、最初に喜びを口にすると、異例ともいえる無観客試合でのリスタートについて、こう続けた。
「(再開初戦に向けての)1週間は、ホテルと練習場の往復だけで、外出も禁止。試合になれば、ふだんどおり勝ちにいくことに変わりはなかったですが、サポーターがいない独特の雰囲気のなか、練習試合みたいにならないように気をつけました」
コロナ禍での試合で、「感染リスクが100%ない」とはいえないなか、不安があっても不思議はない。
「そこは、大丈夫かなと。リーグの再開が決まってから、選手は3日に1回程度のペースでPCR検査を受けていますし、クリアな状態でやっていますので。
むしろ、リーグが中断して外出自粛が続き、(再開の目途が立たず)先の見えなかったときのほうが、どうモチベーションを保てばいいのか、難しさがありました。
もちろん、リーグ再開が決定してから試合まで、実質10日もなかったので、コンディションを整える難しさはありましたけどね」
一方、試合前の握手や、ゴールが決まった際の複数人でのセレブレーションも禁止され、サッカーの醍醐味が失われているように思うが……。
「まあ、それは(苦笑)。なかには、無意識にハイタッチとかしちゃってる選手もいますけどね。“肘タッチ” の挨拶も、意外と慣れてきましたよ」
15試合連続でフル出場した5月28日のハンブルクとの大一番では、ドイツ移籍後初ゴールをマークし、チームの勝利に大きく貢献した遠藤(冒頭の写真中央)。チームも2位に浮上した。
「昇格争いのプレッシャーもあるが、楽しみながら残りの試合を戦いたい」
えんどうわたる
1993年2月9日生まれ 神奈川県出身 湘南、浦和、シント =トロイデン(ベルギー)を経て、2019年8月よりシュトゥットガルト所属。各年代で日本代表入りし、2016年リオ五輪で主将。2018年ロシアW杯出場。日本代表22試合出場
写真・picture alliance/アフロ
取材&文・栗原正夫
(週刊FLASH 2020年6月16日号)