松中信彦×川崎宗則、SBホークスで見た王監督の「若手操縦術」

松中信彦

　話を聞くほどに、球界で起きていることは、サラリーマンの日々の生活のヒントになることも少なくないと思える。

松中「会社も野球と一緒ですよね。上司がいるのに部下が好き勝手にやっていたら、成果は上がらないはずです」

川崎「上司が一生懸命仕事をすれば、部下だって頑張る」

松中「結果を出さなければ、人はついてこない。自分がさぼっていながら、後輩や部下に『ちゃんとやれ！』と言っても、なんの説得力もないですから。

　僕はいま、四国独立リーグの香川オリーブガイナーズで指導者（GM兼総監督）をやらせてもらっていますが、“上から目線” で物を言っても若手には響きません。アドバイスも、その選手の立場になって言わないと、伝わるものも伝わらないですからね」

川崎「僕の持論は、『リーダーは遊びのプロ』ってこと。小さいころって、みんなを楽しませる遊び方を考案できる人間がリーダーでしたよね？　野球でも仕事でも、一緒に何かをやって楽しいと思わせることが大事だと思います」

松中「いまは昔の縦社会とは違います。たとえば、仕事終わりの食事の席で『よし、イッキしろ！』では、誰も行きたがらないですからね（苦笑）」

　2人の対談は、現役時代を含めて今回が初めてだという。現在、松中は香川のGM兼総監督、川崎は栃木ゴールデンブレーブス所属と、ともに独立リーグに関わっているが、将来の “共演” も楽しみだ。

川崎「松中さんは、将来ぜひプロ野球の監督になってほしい。ファンの皆さんも待っていると思います」

松中「宗には、おなかいっぱいになるまで現役を続けてほしい。香川で総監督と選手？　先のことはわかりませんが、将来は僕の横でヘッドコーチになってくれたらおもしろいですね」

まつなかのぶひこ
1973年12月26日生まれ　熊本県出身　新日本製鉄君津からドラフト2位で1997年に入団。2004年に三冠王獲得。1996年のアトランタ五輪、2000年のシドニー五輪、2006年のWBC出場。2020年から四国アイランドリーグ「plus香川オリーブガイナーズ」のGM兼総監督

かわさきむねのり
1981年6月3日生まれ　鹿児島県出身　鹿児島工高からドラフト4位で2000年に入団。2006年、2009年のWBC、2008年の北京五輪に出場。2012年から5年間メジャーでプレー。2020年9月、独立リーグ・ルートインBCリーグの「栃木ゴールデンブレーブス」と契約

（週刊FLASH　2020年9月22日号）