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大坂なおみ、全米優勝に“時代遅れ”スポンサーが「ホッとした」理由
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.09.13 18:00 最終更新日:2020.09.13 18:00
9月13日(日本時間)、大坂なおみ(22)が、決勝の舞台でアザレンカ(31)を破り、2年ぶり2度めとなる全米オープン優勝の栄冠に輝いた。この結果に、「スポンサー企業も我々も、正直ホッとしています」と語るのは、大手広告代理店関係者だ。
大坂なおみといえば、2019年の年収は3740万ドル(約40億2000万円)に達し、世界の女子アスリート史上、最高の高給取りとなった。その収入を支えるのは、莫大な契約料を支払うスポンサー企業たち。日清食品など、名だたる日本企業も名を連ねている。
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「一部の日本企業が気にしているのは、大坂なおみさんの人種差別への抗議活動なんです」(同前)
大坂は、全米オープンの前哨戦だった『ウエスタン・アンド・サザン・オープン』でベスト4に進出するも、ウィスコンシン州で起きた白人警官による黒人銃撃事件に抗議して、準決勝を棄権すると発表。
また、新型コロナ対策として試合中に着けているマスクに、警察による人種差別的な暴力の被害に遭った黒人犠牲者の名前が書かれていることも、注目を浴びている。
「2020年は大統領選があるので、米国のセレブたちは自身の政治姿勢を、ますます明確にします。大坂選手による人種差別に抗議する意思表示も、米国では自然なこととして受け入れられるのです。
でも日本企業のなかには、こうした積極的な政治的発言を “リスク” だと考える企業もあります」(スポンサー企業関係者)
実際、日本の一部ファンからも、大坂の試合棄権発言について「スポーツに政治を持ち込むな」「選手だから試合に集中してほしい」という声があがった。
「もちろん、大坂選手が人種差別問題に熱心に取り組んでいることは尊重しています。でも、日本にいて海外からの報道だけで人種差別問題に触れている人たちには、大坂選手が抗議のアクションを起こさざるをえない米国内での緊迫した空気感は、必ずしも伝わっていません。
大坂選手の気持ちが日本国内にうまく伝わらず、『なぜ彼女は “政治活動” に、あんなに必死なのか』と思われる可能性を心配してしまうんです」(別のスポンサー企業関係者)
そんななかで行われた全米オープン決勝だが、彼女が「優勝」したことで、すべてが「丸くおさまる」ことになりそうだという。
「企業がアスリートと契約する際に、もっとも重視するのは “勝利” なんですよ。試合以外の場で、どんな “政治的発言” で注目を集めようと、本業で活躍してくれればいいんです。その意味で、大坂選手が見事に優勝を勝ち取ってくれたことに安堵しています」
なんとも時代遅れな姿勢だが、日本国内からも、大坂選手の抗議活動に対して冷淡な一部の日本企業や市民感情に、「それでいいのか」と疑問の声があがりつつある。「もう、時代は変わりつつあるんですよ」と、前出の大手広告代理店関係者は語る。
「これだけSNSが発達した中で、『自分の意見をしっかり言える』というアスリートに、むしろ魅力を感じている企業も増えてきています」
次に大坂なおみが挑戦する大舞台は、9月20日から始まる全仏オープン。もし早々に敗退するようなことになれば、スポンサー企業たちが、またも右往左往することに――。
写真・AP/アフロ