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「スポーツすると早死する」説は本当か徹底検証してみた

スポーツ 投稿日:2016.09.08 12:00FLASH編集部

「スポーツすると早死する」説は本当か徹底検証してみた

●ゾウもネズミも人間も15億回心臓打てば寿命

 

 東京慈恵会医科大学相撲部の総監督を務める医師・富家孝氏はこのような見方を示す。

 

「千代の富士の場合はたしかに早世でした。しかし、60歳になったら、ガンは誰もが罹る可能性がある。貴ノ浪の急性心不全だって、リスクは一般人と変わらない。急死の8割は、心臓が原因ですから。アスリートが必ずしも短命とはいえません」

 

 では、生物学的にみればどうか。生物学者で東京工業大学の本川達雄名誉教授に聞いた。

 

「息を一回吸って吐くあいだに、心臓は4回打ちます。哺乳類なら、どの動物でも、一生のあいだに心臓は約15億~20億回打つ。ゾウの寿命は70年、ネズミの寿命は2、3年ですが、その回数は変わらない。その回数をヒトに当てはめると、せいぜい40年で15億回に達してしまう。

 

 ですが、いまは野生では暮らしていませんし、医療も発達している。そのおかげで、生き長らえているんです。激しい運動をすれば、そのぶん、心臓の限界に早く達することもあるでしょう」

 

●心拍数が70回以上なら心臓病の死亡率は2倍

 

 東北大学の研究では、心拍数が1分間に70回以上の人は、70
回未満の人に比べて、心臓病が原因の死亡率が2倍になったという。

 

 そのため、「スポーツをすると無駄に心臓を消耗するため、長生きできない」という考えも根強い。しかし、前出の大澤教授はこう説明する。

 

「アスリートは一般の人よりも心拍数が少ない『スポーツ心臓』を持っているんです。成人の平均的な心拍数が60~70回なのに対して、アスリートは40~50回。一流マラソン選手では、30回程度です。

 

 極端に心拍数が少なければ短命になったり、不整脈なら突然死のリスクもありますが、激しい運動に適応して心臓が大きくなっており、一度に送れる血液量が増大して疲れにくくなっているのです」

 

 そんな人並み外れた身体能力をもちながら、早世してしまうアスリートがいる。なんと凄絶な勝負の世界か。

(週刊FLASH 2016年8月30日号)

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