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“ジーコ超え”の「おっさんJリーガー」年収1000万円→年俸120円の選手生活に「金で買えない幸せ」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2020.12.18 06:00 最終更新日:2020.12.18 06:00

“ジーコ超え”の「おっさんJリーガー」年収1000万円→年俸120円の選手生活に「金で買えない幸せ」

 

 2020年シーズンはここまで4試合に途中出場しているが、まだゴールはない。12月20日のJ3最終節の藤枝MYFC戦が、Jリーガーとしての最後の舞台となるが、J3最年長となるゴールを決めて、プロとしての足跡を残せるか。

 

「僕が出場した4試合中2試合で、ロスタイムに同点ゴールが生まれています。対戦相手は、僕みたいなおっさんにだけは点を取られたくないようで、必要以上に警戒してくれていて、そのおかげで味方がフリーになっていることが多い。

 

 

 でも、最後は自分で仕留めたい。自分がサッカー選手だったことの証しとして、ゴールが決められたら最高じゃないですか。決められたら、コロナなんて関係なく、喜びを爆発させますよ」

 

 日焼けした肌に、長髪がトレードマーク。2020年はシーズン開幕前から、食事をビーガンスタイル(動物性食品を摂取しない)にしたことで、コンディションは上向きつつある。

 

「最初は、『サッカー選手が肉を食べずにパワーが出るのか』という不安もありました。最初に2週間お粥だけというファスティング(断食)をして、その後ビーガンにして9カ月ほどたちましたが、体を内側から変えたことで毎日きれいな一本糞が出るなど、体調は良好。心肺機能は、かなり改善された気がします」

 

 12月18日には、初の自著『おっさんJリーガーが年俸120円でも最高に幸福なわけ』(小学館)も発売。

 

「世の中のおっさんたちのなかには、お金に縛られすぎて、やりたいことができていない人が多いような気がするんです。でも僕は、年収が約1000万円から実質0円になったけど、夢だったサッカー選手になって心はワクワクし、今のほうが幸せだと断言できます。

 

 もし、年齢などでやりたいことを諦めてしまっている人がいれば、何事も始めるのに遅いことはないと言いたい。男の幸せって、いい車に乗って、いい家に住んで、いいお酒飲んで、きれいなお姉ちゃんと遊ぶだけじゃないじゃないですか。お金で買えない幸せって、意外と足元にあるかもしれないですよ」

 

 安彦にとって、Jリーガーとしての3年間は夢のような時間だったが、「やり残したことがないわけでもない」と話す。

 

「引退時に、『悔いはありません』と言う選手がいますが、そんなことありますかね? パーフェクトな日が来たら、そこで人生終わっちゃいそうだし。そもそも僕は、人生の後悔を取り戻すためにJリーガーになったわけで、悔いこそが大きなエネルギーになると思っています。

 

 Jリーガーとしての僕は2020年シーズンで終わりですが、最後の試合終了の笛は、僕にとって次のスタートの合図でもある。終わって悲しむんじゃなく、笑って前を向きたいですね」


あびこたかまさ
1978年2月1日生まれ 神奈川県出身 高校卒業後、ブラジルに渡り、「グレミオ・マリンガ」とプロ契約を結ぶも、前十字靭帯断裂の大怪我を負い帰国。その後、Jリーグのテストを受けるも不合格となり、約15年間社会人生活を送っていた。しかし、39歳で再びサッカー選手を目指し、2018年に水戸(J2)に加入。2019年からYS横浜(J3)でプレーするが、今季限りでの引退を表明。ポジションはFW

 

写真・ヤナガワゴーッ!
取材&文・栗原正夫

 

(週刊FLASH 2020年12月29日号)

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