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巨人・菅野は8億円で残留…データで判明「今なら年俸10億超え」のレジェンド投手は?
スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.01.25 06:00 最終更新日:2021.01.25 06:00
1月14日、巨人の菅野智之投手(31)が契約更改交渉をおこない、1億5000万円増の8億円(推定)でサインした。この数字は、2003年、2004年の巨人・ペタジーニの年俸約7億2000万円を超える、日本球界史上最高額だ。
振り返れば、1986年に落合博満(67)がロッテから中日に移籍した際、史上初の1億円超えの年俸で契約した。その後、選手の年俸は高騰を続け、いまや “1億円プレーヤー” は、セ・パで60人以上にのぼる。
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だが、落合以前の選手のなかには、菅野よりも好成績を収めてきたレジェンドたちがいる。彼らは、今だったらいくらの年俸をもらえるのか。
そこで本誌は、プロ野球のデータに詳しいスポーツライターの広尾晃氏(61)に、過去の名選手たちの年俸を、彼らの成績をもとに算出してもらった。対象となるのは、レジェンド沢村栄治を除き、1950年から落合がプロ入りした1978年までにプロ入りした選手のなかで名球会入りした、おもだった投手たちだ。
「PR(Pitching Runs)という指標を算出し、2020年の菅野の年俸を基準に計算しました。PRは、投手を統計的に分析する際に使われる指標のひとつで、投手の防御率はもちろん、リーグ全体の防御率や投球回数などを加味した、投手の能力を表わします」(広尾氏・以下同)
年俸トップに輝いたのは、「神様、仏様、稲尾様」で知られる稲尾和久。約16億7000円と算出された。
「PRは、積み上げ型の数字です。基本的に、たくさん出場し、たくさん投げると増えます。稲尾さんのように、昔は年間で400イニング投げる投手もいましたが、現代の投手ではあり得ません。だから昔の投手のほうがPRの数値が上がり、年俸も高くなります」
投手の投球回数が減った原因は、バッターの進化によるものだという。
「昔の投手は、速球で三振を取ることができました。速球は、肩や肘にそれほど負担がかからないため、あれほどの数を投げられたのです。
しかし、今のバッターから三振を取るには、スライダーやスプリットといった体に負担のかかる球種が必要です。今の投手たちの投球回数が少ないのは、仕方がないことです」
では実際には、選手の年俸はどのように決められているのか。元ロッテ投手で、ソフトバンクホークス取締役を経て、現在は桜美林大学教授の小林至氏(52)が解説する。
「前年の年俸を前提に、打者なら『ヒット1本でいくら』など、査定のポイントを加算して決めるのが一般的です。年数を重ねた選手は、係数を変えてヒット1本あたりの価値を高め、金額が増えるようにします。一方、選手がFA宣言した場合は、マーケット価格でどれぐらいが適正なのかを査定して提示します」
だが、これはパ・リーグ盟主のソフトバンクだからこそ。
「他球団は、ソフトバンクの数字を気にしていました。選手は『ソフトバンクのあの選手は、自分よりも実績が低いのに年俸は高い』などの情報を持ってきますから。もちろん私たちも、他球団の数字は気になります。同じような成績の選手に、他球団より低い年俸は提示しづらいですからね」(小林氏)
小林氏は、選手の年俸が高騰し始めたのは、FA制度ができてからだと語る。
「1993年にFA制度ができるまで、選手は球団の金額に納得できなければ、実質、プロ野球をやめるしか選択肢がありませんでしたからね。各球団は、MLB並みの夢のある数字を出せるように、今後も経営努力を重ねるべきです」
広尾氏も、FAやポスティング制度が年俸に大きな影響を与えていると言う。
「成績が細かく年俸に反映されるのは、2億〜3億円あたりまでです。たとえば菅野と、中日の大野雄大投手を比べると、成績は大野のほうがいいんです。でも年俸は倍以上、菅野が高い。それは菅野が『メジャー行き』を宣言したからです。メジャーへの流出が続く限り、トップ選手たちの年俸は上がり続けるでしょう」
以下の関連リンクで、日本プロ野球60年史における、「今なら年俸いくら?」の投手ランキングを公開する。
※一部敬称略
(週刊FLASH 2021年2月2日号)