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巨人3連覇の鍵は桑田真澄コーチが掲げる「先発は中6日135球完投」

スポーツFLASH編集部
記事投稿日:2021.02.03 19:14 最終更新日:2021.02.03 19:18

巨人3連覇の鍵は桑田真澄コーチが掲げる「先発は中6日135球完投」

 

 2月1日、プロ野球がキャンプインした。2008年の現役引退以来、初めてユニフォームに袖を通す巨人桑田真澄投手チーフコーチ補佐(52)の指導ぶりに注目が集まっている。

 

 現在の球界の常識は「先発は中6日で100球」だが、桑田コーチは「先発は中6日なら135球で完投すべき」と語っている。その理想には届かなくても、先発が長い回を投げられなければ、巨人のセ・リーグ3連覇には黄信号が灯りそうだ。なぜなら、この2年間で巨人の救援陣には多大な負担がかかっているからだ。

 

 

 とくに、2020年はその傾向が顕著に現われた。先発は、全120試合でわずか4完投。菅野智之(31)が7月3日、7月21日、8月18日に、畠世周(26)が11月1日に完封したのみだった。これは、1完投しかなかった最下位のヤクルトに次いで2番めに少ない(DeNAも4完投)。つまり、ほとんどの試合を救援陣に助けられていたのだ。

 

 2019年に続き、中川皓太(26)とデラロサ(31)が8・9回を確実に抑えた。それに加え、シーズン途中に楽天から移籍してきた高梨雄平(28)、サイドスローに転向した大江竜聖(22)が大車輪の活躍を見せた。

 

 先発が5・6回で降板しても、中継ぎ陣の踏ん張りでチームは勝ちを重ね、序盤から独走。開幕から3カ月足らずの9月15日に、マジック38を点灯させたのだ。

 

 その疲れが終盤、一気に出た。2019年からフル回転してきた中川や大竹寛(37)は故障で離脱し、抑えのデラロサは不調に陥った。高梨や大江は序盤の活躍が嘘のように、相手打線に捕まった。

 

 救援陣の月間防御率を見ると、6月から9月までは2~3点台に抑えていたものの、10月が4.38、11月も5.47と悪化。比例するように、チームは10月を10勝14敗3分、11月も3勝4敗1分と、2カ月連続で負け越した。この失速により、マジックが出てから1カ月半後の10月30日まで、優勝決定が延びたのだ。

 

 例年通りクライマックスシリーズがあれば、巨人は敗退していたかもしれない。2位の阪神、3位の中日ともに10・11月は勝ち越しており、勢いの差は明らかだったからだ。さらにコロナ禍にならず、予定通りの143試合制だったら、終盤に猛追を受けていた可能性も高い。

 

「135球完投」を達成できる先発投手は、現時点では皆無に近い。巨人で135球以上投げた投手は、2019年は菅野の1回のみ、2020年は菅野、戸郷翔征(20)が1回ずつあっただけだ。

 

 その状況は他球団も変わらない。しかし、2020年のセ・リーグで7回を2自責点以下に抑えた回数を見ると、巨人先発陣の不甲斐なさが顕著になる。この条件下での1位は、沢村賞に輝いた中日・大野雄大(32)の12回。菅野が2位の11回を記録しているが、10位以内にほかの巨人の先発はひとりも入っていない。

 

 9勝の戸郷は18先発で4回(22.2%)、8勝のサンチェス(31)は15先発で4回(26.7%)。日本シリーズに先発した今村信貴(26)は11先発で2回(18.2%)、畠は12先発で2回(16.7%)だけに終わった。セのほかのチーム以上に、中継ぎ陣が先発をカバーしていたのだ。

 

 2021年の巨人は井納翔一投手(34)、梶谷隆幸外野手(32)のFA補強に加え、菅野もメジャー移籍を断念して残留した。優勝候補の筆頭に違いはないが、中継ぎ陣の顔触れはほとんど変わらない。ビエイラ(28)やドラフト4位の伊藤優輔(24)など期待の持てる投手もいるが、新戦力が出てくるかは未知数だ。

 

 原辰徳監督(62)はそんな現状に鑑み、完投のコツを知る桑田コーチを招聘したのかもしれない。先発陣の成長なくして、巨人の3連覇、9年ぶりの日本一奪回は考えられない。

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